VMworldが開幕。グリーンCEO「仮想化がデータセンターを変革する」――効率性が向上したESX Serverの新版を発表し、“仮想化市場リーダー”をアピール
VMworld コンファレンスは今年で4回目の開催となる。 2006年の同コンファレンスの参加者数は約6,500名であったが、今回の参加者数は1万名超にまで増加。また、周知のように、VMwareは先月、 IPO(新規株式公開)を果たし、話題を呼んだベンダーである。コンファレンス初日の盛況ぶりは、仮想化技術、そして、この分野の市場リーダーに対す注目度の高さを如実に表すものと言える。
開幕基調講演に登壇したVMwareの社長兼CEO、ダイアン・グリーン氏は、「仮想化技術は、IT業界でもまれに見る革新的な技術だ」と語り、特に、昨今注目されているサーバ統合やディザスタ・リカバリといったデータセンター・レベルでの仮想化技術が企業ITインフラにおいて果たす役割の大きさが強調された。
さらにグリーン氏は、開催前日の9月10日に発表した仮想化ソフトウェア「ESX Server 3」の新版「ESX Server 3i」を紹介。インタフェースの役割を果たしていたRed Hat Linuxベースのサービス・コンソールを統合したことで、わずか32MBに仮想化機能を集約し、USBメモリに格納できる点をアピールした。
「シン・バーチャライゼーション」と表現されるESX Server 3iは、2007年末に販売開始される予定だ。なお、Dell、IBM、HP、NECなど複数のサーバ・ベンダーからは、ESX Server 3iを組み込んだサーバが順次発売される計画になっている。
基調講演には、VMwareとの緊密なパートナーシップを築いているIntelのキーパーソンもゲストで登場した。Intelでデジタル・エンタープライズ・グループのジェネラル・マネジャー兼シニア・バイスプレジデントを務めるパトリック・ゲルシンガー氏は、仮想化技術におけるIntelの役割を説明した。
ゲルシンガー氏は、「今後のデータセンターに仮想化は必須の技術」と語り、Intel Virtualization Technology(VT)で、I/Oやネットワーク接続などに対して仮想化をサポートしている点を紹介。そのうえで、先ごろ発表したマルチプロセッサ・サーバ向けのクアッドコアXeonプロセッサ 7300番台を搭載したサーバで仮想化技術を利用した際のパフォーマンスの高さを強調し、ESX Serverと組み合わせることで、データセンターにおける効果的なリソース配分を実現可能とした。
Intelに続いて登壇したのは、そのライバル、AMDである。同社会長兼CEOのヘクター・ルイズ氏がみずから登壇し、同氏は、VMwareやAMDなどが設立したグリーン・グリッドでの取り組みに言及。仮想化によりエネルギーの効率的な利用が可能になる点を語った。
「オースティンにあるデータセンターでは、ESX Server 3による仮想化で、117台あったサーバを計9台に統合した。これにより、消費電力の79%削減に成功した」(ルイズ氏)。こうして基調講演に登壇したスピーカーはそろって、今後の仮想化技術に対する大きな期待を語った。
(山上朝之/Computerworld)
米国VMware
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