Windows Server 2008の発売が再び延期――RTMは来年1月以降に――来年2月末の発売イベントは予定どおり実施へ

 米国Microsoftは8月29日、「Windows Server 2008」の発売を再度延期すると発表した。同サーバの開発は12月に終わるはずだったが、さらに3カ月の期間が必要になったという。

 最新のスケジュールによると、Windows Server 2008は来年1月1日から3月31日の間にRTM(製造工程向けリリース)の段階へ進む。RTMとは、ソフトウェアの開発が完了し、各部品を一般販売用媒体にプレスできるようになった状態を指している。

 Microsoftは7月、今年下半期としていた同サーバの発売を来年2月に「延期」した。しかし、発売が再度延期されたことで、同社が力を入れて宣伝している、ロサンゼルスで2月27日に開催される「発表会」に同サーバが出品されない可能性が出てきた。

 同イベントの目玉は、Windows Server 2008および「SQL Server 2008」「Visual Studio 2008」とされている。このうち、SQL Server 2008は来年4月1日から6月30日の間、Visual Studio 2008は今年末までに発売される予定なので、Windows Server 2008が延期されると、Microsoftはイベント当日に何もリリースできないことになる。

 Microsoftは、顧客やパートナーが集まる同イベントをキャンセルするつもりはないと述べている。同社Windows Serverチームのグループ製品マネジャー、ヘレン・ラブ・スネル氏は、「発表会よりもRTMを優先して仕事を進めていると、開発チームから直接聞いた。われわれも、そうしてくれることを望んでいる。もっとも、準備が完全に整うまでは製品は出荷できない」と話した。

 Windows Server 2008は、2005年にベータ版が開発されているにもかかわらず、リリースは再三延期され、そのつど機能を削ってきたという経緯がある。したがって、今回の発売延期も、Microsoftがきわめて現実的な路線を取ろうとしていることの表れだと識者らは見ている。

 また、発売延期が同社に深刻な影響を及ぼすおそれは低く、むしろ今後のクライアントおよびサーバの展開に役立つと述べる者もいる。

 Windows Server 2008の延期と連動して、同サーバ用の仮想化ハイパーバイザ「Windows Server Virtualization(WSV)」(開発コード名:Viridian)の出荷時期もずれ込む見込みだ。ただし、Microsoftのスネル氏は、リリース時期に関する両者の枠組みに変更はなく、Windows Server 2008のRTMと同時にWSVのベータをリリースし、そこから180日以内にWSVを正式出荷する方針に変わりはないとしている。「最終期限は確かに移動したが、リリースにまつわる条件を変えたことはない」(同氏)

 Microsoftは今後数週間のうちにWindows Server 2008のリリース候補(RC)版を出荷し、RCの第2版も今年末までに完成させる計画だ。RC版とは、開発完了前のベータ・テストの最終段階に出されるバージョンである。

 スネル氏によると、Windows Server 2008の発売を、WSVが完成する来年の夏まで遅らせる選択肢は考えなかったという。「仮想化は注目の技術だが、市場に浸透している割合は5%程度にすぎない。それゆえ、仮想化をまだ導入していない顧客を相手にしていくのは、巨大なビジネス・チャンスだと言える。われわれとしては、WSVの出荷を開始するまでに、必要となる製品をユーザーに行き渡らせ、サービスを提供し、適切な戦略を実施していかねばならないのだ」(スネル氏)

 Microsoft自身も、このたびのWindows Server 2008の延期が、同社の事業展開やサーバ・スイート「Centro」や「Cougar」(いずれも開発コード名)に影響を与える可能性は低いと明言している。

(ジョン・フォンタナ/Network World オンライン米国版)

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提供:Computerworld.jp