Dell、デスクトップLinuxの普及にオープンソース仮想化を活用――「Linuxコミュニティには、新たな仮想化環境を創造する力がある」

 米国Dellは8月7日、仮想化技術を活用して、企業デスクトップ環境へのオープンソースLinuxの普及を推進し、MicrosoftのWindowsシステムとの併用をより現実的なものにする取り組みを明らかにした。

 DellのCTO(最高技術責任者)を務めるケビン・ケトラー氏は、サンフランシスコで開催されている「LinuxWorld Conference & Expo 2007」(8月6~9日)で基調講演を行い、発展途上にある同社のLinuxデスクトップ戦略を語った。

 ケトラー氏は、会場のモスコーン・センターに集まった聴衆に対し、オープンソースの仮想化ハイパーバイザを使って、WindowsとLinuxを1台のデスクトップ上で動作させるデモンストレーションを披露した。

 同氏は、DellのノートブックPC「XPS」を使って、Novellの「SUSE Linux Enterprise Desktop」、Microsoftの「Windows Vista」および「XP」、MozillaのWebブラウザ「Firefox」を切り替えて見せた。

 「将来的には、1台のクライアントに仮想化した8~9のOSが搭載されるようになるのでないか。今日のLinuxコミュニティは、イノベーションを起こし、こうした仮想マシン環境を創造していく力を十分に持っている」(ケトラー氏)

 仮想化に関する発表とともに、DellはオープンソースLinuxの「Ubuntu」を搭載したデスクトップおよびノートブックを欧州で出荷する計画も明らかにした。米国ではすでに今年5月からUbuntuを搭載しモデルの販売を開始している(関連記事)。

 技術リサーチ会社のパンドITに所属するチャールズ・キング氏は、デスクトップにLinuxが採用されるようになった背景には、Windowsの対抗馬としてのLinuxの成熟があると指摘する。

 キング氏は8日に発表した報告書の中で、Dellとオープンソース開発コミュニティの関係について、「これまではやや込み入っていた」と指摘する。Dellはかなり前からLinuxをサーバに採用しているが、オープンソース支持者らは、同社がLinuxデスクトップ戦略を明確に打ち出していなかったことについて、「侮辱的」といった言葉まで用いて非難していたという。

 同氏は、DellがLinuxベースのデスクトップ・システムを提供してこなかったのは、単に市場全体がそうした製品を積極的に求めていなかったからにすぎず、UbuntuなどのLinuxディストリビューションが成熟し、利用性が高まったことで、今ではWindowsの有力な対抗馬として認識されるようになってきたと分析している。

 ケトラー氏もそうした事情を認識しており、「デスクトップ・レベルでLinuxと仮想化を利用することに対する企業顧客の抵抗感を払拭しようと努力している」と語った。

 「結局のところ、CIOがなぜミッション・クリティカルなデスクトップ環境にLinuxを採用したがらないのかという所に行き着く。仮想化技術をうまく使えば、CIOが抱いているそうした抵抗感も払拭できるはずだ」(ケトラー氏)

(ロバート・マリンズ/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国Dell
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提供:Computerworld.jp