Google、携帯電話端末の試作品をキャリアらに公開――広告バンドルで月額使用が無料のサービスを検討?

 米国Googleは携帯電話端末の試作品を開発済みで、1年以内に製品化する――。8月2日付けのウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、同社は携帯電話に検索エンジン、電子メール、Webブラウザといったソフトウェア・アプリケーションを搭載し、広告をバンドルすることで、月額利用料が無料の携帯電話サービスの提供を検討しているという。

 同紙によると、Googleは携帯電話の試作品を、携帯電話ベンダーやネットワーク事業者に公開しており、モバイルWebブラウズの機能強化に取り組んでいるという。

 Googleはこの試作品の報道についてはコメントを控えたものの、携帯電話関連のパートナーと連携し、モバイル・デバイス向けソフトウェア・アプリケーションの開発に取り組んでいることは認めている。

 Googleで広報担当を務めるマイケル・カークランド氏は、IDG News Serviceの取材に対し、「われわれは世界中のキャリアやベンダー、コンテンツ・プロバイダーと協力し、モバイル・ユーザーがどこにいてもGoogleの検索サービスやアプリケーションを利用できるように取り組んでいる」と、電子メールで回答した。

 このGoogleの動きは、米国AppleのiPhoneに追随するものと考えてよいだろう。だが、Googleが携帯電話端末を提供する目的は、広告収入を獲得することであり、携帯電話端末の販売を目的とするAppleとは、ビジネス・モデルがまったく異なる。

 あるアナリストは、広告収入を主体とする同ビジネス・モデルは、コンテンツ・サービス・プロバイダーとGoogleとの間で、両社が納得するように広告収入を分配できるかどうかが大きなハードルになると指摘する。

 また独立系無線/通信業界アナリストのジェフ・カーガン氏は、「音声による広告の場合、通話する前に広告を聞かなければならないことから、利用者に敬遠されてしまう可能性もある」とし、以下のように指摘する。

 「携帯電話の月額利用料を支払える“大人”であれば、いくら安いとはいえ通話の前に広告を聞きたいとは思わないだろう。Googleの端末は、携帯電話の利用料を払う余裕がないティーンエージャー向けということになる」

 業界観測筋はかねてから、Googleが独自の携帯電話端末を開発しているとのうわさを耳にしていた。Googleは今年7月、米国連邦通信委員会(FCC)が実施する無線周波数競売で、免許取得に46億ドルを投じる用意があると発表している。この発表で、うわさの信憑性はさらに高まった。

 携帯電話サービス市場に新規参入する企業は多い。Appleのほか、米国ウォルト・ディズニーも2001年、CATVスポーツ・チャンネル「ESPN (Entertainment and Sports Programming Network)」を無線で配信する事業を立ち上げた。しかし同社は2006年に撤退している。

 「携帯電話業界は発展を続けている。iPhoneを生み出したのが携帯電話ベンダーでも通信キャリアでもなかったように、これからも新しい“プレーヤー”が画期的な製品を携えて、携帯電話業界に登場するだろう」(ガーガン氏)

(ベン・エームズ/IDG News Service ボストン支局)

米国Google
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提供:Computerworld.jp