IBM、「DB2 9」のメジャー・アップグレード版を年内にリリース――シェア奪還に向けパフォーマンスやセキュリティを強化

 米国IBMは、主力データベース製品「DB2 9」のメジャー・アップグレード版「DB2 Viper 2」を年内にリリースする。新版には、XMLデータのハンドリングを強化する新機能などが盛り込まれる予定だ。

 先週から公開ベータ・テストに入っているViper 2は、昨年7月にリリースされたDB2 9の初のメジャー・アップグレード製品となる。IBMのデータ・サーバ担当ディレクター、バーニー・スパング氏によると、Viper 2の公開ベータ・テストは、IBMにテスト結果をフィードバックする意思のあるすべてのDB2ユーザーを対象にしたものだという。

 IBMは、自社サイトにアップしたWebページの中で、Viper 2に搭載される新機能の一部をアピールしている。その中には、データ・ウェアハウスから実行するクエリのパフォーマンスを向上させ、データベース内でのXMLデータのハンドリングを強化する新しいワークロード管理ツールも含まれている。

 Viper 2では、DB2 9に搭載されているセキュリティ機能の管理も容易になる。DB2 9にはラベル・ベースのアクセス制御機能が搭載されており、ユーザーの役割(ロール)に応じてデータの個々のカラムに対するアクセス特権を設定できるが、 Viper 2ではこの特権の管理機能が強化され、作業が簡素化されると、スパング氏は述べている。

 IBMは、ライバル製品に対するDB2 9のアドバンテージを強化できるとしてViper 2に期待を寄せている。また、苦戦が伝えられるリレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)市場で、OracleやMicrosoftから奪われたシェアをViper 2によって取り戻したい考えだ。

 Gartnerによる2006年の世界RDBMS 市場調査によると、Oracleはデータベース関連の売上高を前年比で14.9%伸ばし、47.1%の売上高シェアを確保した。同様に、Microsoftもデータベース事業を前年から28%も伸ばし、17.4%のシェアを獲得している。

 これに対し、IBMのデータベース売上高は8.8%の伸びにとどまった。売上高シェアも、2005年の22.1%から2006年は21.1%へと減少している。

 Gartnerは、2006年の同市場の規模を152億ドルと見積もっており、前年比14.2%の成長率としている。ただしこの金額には、新規ライセンス、アップデート、サブスクリプション、ホスティング、テクニカル・サポート、メンテナンスの売上げが入っているが、プロフェッショナル・サービスやハードウェアの売上げは含まれていない。

(ジェームズ・ニコライ/IDG News Service パリ支局)

米国IBM
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提供:Computerworld.jp