Oracle、「Oracle Database 11g」を正式発表――8月よりまずLinux版を出荷。他のOSには順次対応

 米国Oracleは7月11日、同社のRDBMSの新版「Oracle Database 11g」を発表した。同日にニューヨークで開かれた製品発表イベントでは、新版が備える特徴や新機能、移行で得られるユーザー・メリットなどが同社幹部によって紹介された。

 4年ぶりのメジャー・バージョンアップとなるOracle Database 11g。製品名を見てのとおり、前版である10gのリリースで打ち出された「グリッド・コンピューティングのためのデータベース」という位置づけは新版でも継承されている。

 「10gは、グリッド・コンピューティングのパイオニアであり、現時点で、当社のユーザーの半数以上がこのバージョンに移行している。新しい11gは、増大の一途をたどるデータ量への対処、その管理コストの削減、データ統合といった今日の企業が抱える課題にこたえる機能を網羅することで、グリッド・コンピューティングの普及を加速する」(同社データベース・サーバ技術担当シニア・バイスプレジデントのアンディ・メンデルソン氏)。

 Oracleによれば、新版は400以上の機能を備え、その開発には1,500万時間、3万6,000人月が投入されたという。発表会で同社が挙げた11gの新機能・機能拡張ハイライトのうち主要な項目は次のとおりだ。

  • Oracle Real Application Testing(新機能):データベースやOSの定期的なアップデート/アップグレードなど、システム/アプリケーションの変更が要求される際に、ユーザーが行う作業を支援する機能。テスト環境の構築から本番環境への移行までのステップごとで大幅な省力化が可能になる。
  • Oracle Data Guard(新機能):ディザスタ・リカバリやテスト環境構築の目的で作成する予備データベースのための機能。1つのデータベースに対して同時に読み出しと復元が行えるほか、本番データベースへのローリング・アップグレードを可能にする。
  • データ・パーティショニング/データ圧縮(機能強化):従来、手作業に頼っていたデータ・パーティショニング作業の多くが自動化された。また、トランザクション処理、データ・ウェアハウス、構造化データと非構造化データを共に扱うコンテンツ管理システムの性能向上を図るため、データ圧縮機能も大幅に強化された。
  • Oracle Total Recall(新機能):データベース管理者が、過去の任意の時点における指定したテーブル内のデータの検索を可能にする機能。
  • Oracle Fast Files(新機能):大容量テキスト、XML、医療画像、3Dオブジェクトなどラージ・オブジェクトを格納・管理するための機能。
  • XML対応(機能強化):XMLデータをネーティブで格納・操作する「XML DB」の性能および機能が大幅に強化された。

 Oracle Database 11gの出荷開始時期は8月で、このときに用意されるのはLinux版のみ。他のOS対応版はその後、順次出荷される予定。また、価格と製品構成については10g R2のものが踏襲されるが、無料版のExpress Editionは遅れて提供されるもようだ(時期未定)。

(Computerworld.jp)

米国Oracle
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