IBM、Web 2.0技術を企業向け製品に本格採用――「Web 2.0 Goes to Work」構想の下、SNSツールなどを提供

 米国IBMは6月19日、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)やマッシュアップといった、いわゆるWeb 2.0技術を本格採用した企業向けソフトウェア製品群を発表した。これらの製品は、同社が新たに打ち出した「Web 2.0 Goes to Work」構想の一翼を担うものとなる。

 IBMのエマージング・テクノロジー担当バイスプレジデント、ロッド・スミス氏によると、今回発表された製品は、一般消費者の間で広く普及しているブログ、Wiki、SNSなどのWeb 2.0技術を企業内に広めることを目的としたものだという。

 「多くのサービス企業は、顧客にもっと近づき、いっしょになってアイデアやプロジェクトに取り組みたいと考えている。われわれは、情報の鍵を開け、これまで不可能だったやり方で、企業と顧客を結び付ける製品を考え出した」(スミス氏)

 同社の新しいソフトウェアを使えば、ビジネス・コンテンツをテーマに顧客とブレインストーミングを行ったり、共同で作業したりするのが容易になると、スミス氏は語る。

 同社が発表した製品のうち、チーム・コラボレーション機能を提供するのが「Lotus Quickr 8」である。これは、ブログやWiki、スペース・テンプレートを使い、プラグインを介してビジネス文書やライブラリを共有できるようにする製品で、6月29日に出荷される予定だ。

 Lotus Quickr 8の特徴は以下のとおり。

  • Webベースのユーザー・インタフェースを構築し、ニュース・フィードの発行と使用、チーム・ブログの発行、Wikiの利用などを可能にするAjax技術
  • プロジェクト管理、画像リポジトリ管理、ダイナミック・サーベイなど一般的なビジネス・プロセスをサポートするビジネス・アプリケーション・テンプレート
  • Micorsoft Office 2003/2007、Windows XP/VistaのWindows Explorer、Lotus Notes 7/8、Lotus Sametime 7.5のサポート
  • Internet Explorer、Firefox、Safariのサポート
  • ユーザーをガイドするTutorialウィザード

 これ以外にも、Microsoftのメール・クライアント「Outlook」をサポートするプラグインが追加される予定だ。IBMによると、同プラグインのベータ版は今夏に提供が開始されるという。

 またIBMは、ソーシャル・ネットワーキング機能を提供する「Lotus Connections」も発表した。この製品には、ソーシャル・ブックマーキングやソーシャル・コミュニティのサポートといった、いわゆるSNSの要素がふんだんに盛り込まれている。同製品を使えば、コミュニティやブログでチャット・セッションを開始できるほか、チャットの記録を追加して情報を他の人々と共有し、他のLotusアプリケーションからアクセスできるようにすることも可能になる。

 そのほか、マッシュアップ・アプリケーションの開発ツール・スイート「Info 2.0」も、今回のWeb 2.0 Goes to Work構想に合わせて発表された。Info 2.0により、各種のWebサービスに対応するビジネス・プロセスの要素を容易にリンクさせ、迅速にアプリケーションを構築することが業務担当者の側でも可能になると、スミス氏は述べている。

(ヘザー・ヘイブンステイン/Computerworld オンライン米国版)

米国IBM
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提供:Computerworld.jp