Stallman氏、GNU Projectトップを引き続き務めることを表明。プロジェクト内からは反発の声も
フリーソフトウェアを推進する非営利団体Free Software Foundation(FSF)は10月6日、先にプレジデントの役職を退任したRichard M. Stallman氏について、FSFプレジデント職と兼任してきたGNU Projectのトップという役職についての話し合いを続けていることを発表した。一方で、複数のGNUメンテナーは「GNU Projectを代表できない」として反発している。
FSFの創始者でプレジデントを務めてきたStallman氏の退任は、9月半ばに発表された。その直前に、Stallman氏がJeffrey Epsteinが関連した児童売春についての見解が問題視されたことを受けてのもの。しかし「Chief GNUisance」として兼任していたGNU ProjectでのStallman氏の役職については、明確なことは発表されていなかった。FSFはGNU Projectに資金、技術インフラ、プロモーション、著作権などの法関連、ボランティアなどについて協力してきた。
FSFは声明文で、Stallman氏が両方のトップを続けてきたことから「両者の関係は流動的だった」とする。GNUの意思決定はGNUリーダーシップにあるとし、現在GNUリーダーと将来の関係について共通理解の下に作業しているとした。
また、翌日、Stallman氏は、「GNU Projectのトップとして、将来のGNU ProjectとFSFの関係についてFSFと作業をする」と記している。
一方、GNU Projectに参加するメンテナーからはStallman氏がGNU Projectのトップを引き続き務めることに対して否定的な声も出ており、10月7日、22名の開発者が連名で共同声明を発表する事態となった。声明ではコンピューターのユーザーの自由についてのStallman氏の功績を称えつつ、Stallman氏の過去数年の行動は「GNUプロジェクトの中核となるバリューに傷をつけた」として、継続してGNUを代表すべきではないとし、メンテナーが集まってプロジェクトの組織について集合的に決定する時が来たと主張している。
Free Software Foundation(FSF)
https://www.fsf.org/