「Wine 4.0」リリース、VulkanとDirect3D 12をサポート

 Wineチームは1月22日、最新のメジャーリリース版となる「Wine 4.0.0」を公開した。WineはWindowsアプリケーションをMac OS XやLinux上で実行するためのWindows API実装。本バージョンではVulkanやDirect3D 12のサポート強化など、多くの変更点や新機能が含まれている。

 WineはWine Is Not an Emulatorの頭文字をとったもので、WindowsアプリケーションをPOSIX互換のOSで動かすための互換レイヤを提供する。仮想マシンやエミュレーターのようにハードウェアレベルでOS環境をエミュレートするのではなく、Windows APIコールをPOSIXコールに変換して実行するため、性能とメモリの点で優れるとしている。

 Wine 4.0は、2018年1月に公開された「Wine 3.0」に続くメジャーリリース。1年の開発工期を経ており、6000以上の変更が加わった。

 グラフィックAPIのVulkanをサポートした。Direct3D 12の初期サポートも実現した(vkd3dライブラリとVulkan互換のグラフィックカードが必要)。Direct3Dでは性能改善に役立つMulti-Threaded Command Stream(CSMT)機能がデフォルトで有効になり、OpenGLコアコンテキストもAMDとIntelグラフィックカード上のDirect 3D 10および同11アプリケーションから全てのグラフィックカード(Direct3D 12前)にサポートを拡大した。一部のDirect3D 11インターフェイスを同11.2にアップデートした。

 インプットデバイスでは、HIDゲームコントローラーのサポート、SDLドライバーの実装が加わった。Kerberos認証のサポートが加わり、公開鍵認証の選択のためのダイアログも加わった。オーディオでは「Windows Media Player」インターフェイスを実装し、メディアファイルの再生が可能になった。MP3デコーダーがDirectX Media Objectとして提供されるようになった。

 このほか、Androidで高DPIのサポートなど、多数の細かな強化が加わっている。

Wine
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