13年で最大のリリース、最新のエンジンとUIを搭載した「Firefox 57 “Quantum”」

 Firefoxは11月14日、Webブラウザ最新版「Firefox 57 “Quantum”」公開を発表した。高速化とUI刷新を進めた大型リリースとなる。

 Firefox 57は9月末に公開されたFirefox 56に続く最新版となる。UIが刷新されたほか、新たな高速化技術などが採用されており「13年前にFirefox 1.0をリリースして以来最大のリリース」と位置付けている。

 性能では、「Project Quantum」として進めてきた高速化プロジェクトを始めて全面搭載した。ハードウェア側の進化をフル活用するもので、Chromeに似たマルチプロセスアーキテクチャ「Electrolysis」を土台に、CSSエンジン「Quantum CSS」(「Stylo」)、「Quantum Composer」、「Quantum DOM」、「Quantum Flow」などで構成される。Speedmasterベンチマークでは、6ヶ月前に公開した「Firefox 52」と比較して速度が倍になり、メモリ使用量はChromeより30%少ないとしている。今後は、GPU並列を活用するレンダリング技術「WebRender」(Quantum Render)なども加わる予定としている。

 ユーザーインターフェイスの改善を進める「Photon」イニシアティブの成果も反映された。直感的な操作と快適な体験にフォーカスし、様々なハードウェアでスケールするように設計しただけでなく、Photon UIそのものも高速という。また、アドレスバーと検索バーの統合を進め、米国、カナダ、ドイツではPocketの統合もさらに強化し、よく訪問するページにPocketレコメンデーションを表示するようになった。

 また、消費電力を抑えつつ動画を再生できるというAMD VP9ハードウェアビデオデコーダーもサポートされている。

 一方で、本バージョンでは「WebExtension API」を使った構築した拡張のみがサポートされるようになった。そのため、旧バージョンで動作していた拡張が動かなくなる可能性がある点には注意が必要だ。このほかセキュリティ関連の修正も加わっている。

 Mozillaは合わせて、Googleが米国とカナダでデフォルトの検索プロバイダとなったことを発表した。2社は過去にもFirefoxにおけるデフォルト検索エンジンで提携していたが2014年に提携を解消、市場により異なるがYahoo!などがデフォルトとなっていた。当時、Mozillaは「Firefox OS」としてGoogleのAndroidに対抗するモバイルプラットフォーム構築を進めていたが、2017年始めにFirefox OSプロジェクトに終止符を打っている。そのほかの検索プロバイダもサポートしており、最も検索の選択肢が多いブラウザとしている。

 Firefox 57 “Quantum”はLinux、Mac OS X、Windows、Androidに対応、プロジェクトのWebサイトより入手できる。

Mozilla
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