「Firefox 53」がリリース、次世代ブラウザエンジンQuantumの成果を導入
Mozillaは4月19日、オープンソースのWebブラウザの最新版「Firefox 53.0」を公開した。Windows版ではMozillaが開発を進めている新ブラウザエンジン「Quantum Project」の成果が初めて導入されている。
Firefox 53は、3月に公開した「Firefox 52」に続く最新版。Windows版で新たに「Quantum Compositor」が導入された。Quantum CompositorはMozillaが2016年に開発を発表したブラウザエンジン技術「Quantum」の一部で、これによってWebページのレンダリングをWebブラウザのメインプログラムとは分離できるようになる。これにより、描画中に異常が発生してもFirefox本体はそのまま動作を続けられるという。Quantum CompositorはIntelおよびNVIDIA、AMDのGPUをサポートし、WindowsでFirefoxを使用するユーザーの約70%をカバーするとしている。
QuantumはGeckoを土台とし、Rustの並列性、Servoの高性能技術を組み合わせてGPUオフロードや並列化を進めることを目指している。Quantum Compositorのほか、Quantum DOM、Quantum CSS、Quantum Renderingと、合計4つのプロジェクトに分けて開発が進められている。
本バージョンではまた、Firefox Developer Editionのテーマをベースとした「コンパクト」テーマが導入された。明るめと暗めの2種類から選択できる。プライベートブラウジングでは軽量のテーマを導入した。また、リーダーモードで予想読了時間を表示するようになった。
FirefoxだけでなくChromeやOpera、Edgeで安全に動くように設計されているブラウザアドオンWebExtensionsでは、browsingData APIなど一部のChrome APIとの互換性を強化したほか、新しいAPIの対応も進めた。開発関連ではこのほか、ビジュアル要素の一部または全部を隠す(マスク)CSS Masksのサポートも加わった。WebM videoにもアルファとして対応した。
64ビット対応も進められ、Mac OS Xでの32ビットサポートが終了したほか、LinuxではPentium 4とOpteron以前のプロセッサのサポートが終了している。Windowsユーザーはインストール時に32ビット版か64ビット版を選択できる画面が加わった。
Firefox 53はプロジェクトのWebサイトより入手できる。