FSF、「High Priority Free Software Projects(HPP)」を12年ぶりに改定
フリーソフトウェアを推進する非営利団体Free Software Foundation(FSF)は1月17日(米国時間)、コンピューターユーザーの自由のために優先度が高いとするプロジェクト「High Priority Free Software Projects(HPP)」の見直しを発表した。コンピューティングの変化を受け、スマートフォンOS、AIを利用した個人アシスタントなど新たに6種類のプロジェクトが加わった。
High Priority Free Software Projects(HPP)は2005年にスタートした活動で、コンピューターユーザーの自由(freedom)にとって戦略的に重要度が高いと思われるプロジェクトをリストしたもの。フリーソフトウェア運動の活動者による委員会で決定する。FSFはHPPに選ばれたリストを必ずしもホスティングしたり統括することはなく、GNUプロジェクト以外も受け付ける。
最新のHPPリストは、2014年に委員会が結成され、それから1年をかけて約150人のコミュニティからのフィードバックを募って見直しを進めたもの。「最初のリストが公開されてから10年の間、技術が大きく変化しており、自分が所有するコンピューターを動かすというユーザーの自由に対する脅威も大きく変わっている」と委員会は述べている。
2005年当初のリストは4つのプロジェクトが選ばれ、そのうちの3つはJavaに関するものだった。今回発表された改訂版では、スマートフォンOS、Web上で提供されるクラウドサービスのService as a Software Substitute(SaaSS)、ドライバー/ファームウェア/ハードウェアデザイン、リアルタイムの音声・動画チャット、フリーソフトウェアとアクセシビリティ、フリーソフトウェアの国際化、セキュリティ、個人アシスタント、GNU/Linuxディストリビューションによるフリーダムへのコミット支援、政府による受け入れ、まだフリーソフトウェアを知らない人への啓蒙の11分野で構成される。
例えば、Appleの「Siri」やMicrosoftの「Cortana」といったIntelligent Personal Assistants(IPA)と称する個人アシスタントサービス分野については、「便利さの一方で許容できないトレードオフがある」として、幅広いユーザーデータにアクセスしており、クライアントとサーバー側のコードにアクセスできないと問題を提起している。これらに対するフリーソフトウェアの代替としては、「Lucida」(旧名称「Sirius」)や「Mycroft」、「Pastec」、「OpenPR」などが紹介されている。
FSFは2017年よりHPPリストの変更履歴も残すとしている。
High Priority Free Software Projects
https://www.fsf.org/campaigns/priority-projects/