米Oracle、オープンソースのIDE「NetBeans」プロジェクトをASFに移管することを提案

 米Oracleがオープンソースの統合開発環境「NetBeans」プロジェクトをApache Software Foundation(ASF)に移籍する提案を行った。今後のプロジェクト成功のため、と説明されている。

 NetBeansはオープンソースの統合開発環境(IDE)。当初はJava向けのツールとして、1995年~1996年にチェコで学生のプロジェクトとして開発がスタートした。これをSun Microsystemsが2000年に買収し、オープンソースにした。その後OracleがSunを2010年に買収したことで、Oracle傘下のプロジェクトとなった。現在ではJavaに加えてHTML5、PHP、C/C++、JavaScriptなどの言語による開発をサポートしており、デスクトップ、モバイル、Webアプリケーション開発に利用できる。対応プラットフォームはWindows、Mac OS X、Linux、Solarisで最新版は2015年11月に公開されたバージョン8.1。プロジェクトによると毎月150万人の開発者が利用しており、Airbus、Boeingなどの企業や米航空宇宙局(NASA)などの機関も利用しているという。

 NetBeans開発チームは「Apache NetBeans」として、非営利のオープンソース団体Apache Software Foundation(ASF)にプロジェクト移籍を提案している。OracleはNetBeansのマークを米国と欧州で所有しているが、これをNetBeansの名称、netbeans.orgドメイン、関連する米国著作権登録とともにASFに寄贈する。

 Oracleは「オープンソース技術の役割はNetBeansのガバナンスモデルが確立された18年前から大きく進化しており、Oracleは今後もプロジェクトが成功するようにしたい」としており、NetBeansの管理をASFのガバナンスモデルに移行させることにした、と説明している。これにより、コミュニティに新しい機会をもたらし、コード貢献の促進につながると期待を寄せている。

 OracleはOpenOffice.orgなどのSun由来のプロジェクトも、ASFに移管している。その「Apache OpenOffice」については、開発者が少ないとして一部で存続の危機がいわれている。

 ASFがOracleの提案を受け入れれば、インキュベータープロジェクトとしてスタートすることになる。

NetBeans.org
https://netbeans.org/