Linuxカーネル4.6が登場

 Linus Torvalds氏は5月15日、「Linuxカーネル4.6」を公開した。USB 3.1 SuperSpeedPlusのサポートや分散ファイルシステム「OrangeFS」へのカーネルレベルでの対応など、多数の機能が加わっている。

 Linuxカーネル4.6は3月中旬に公開されたLinuxカーネル4.5に続く最新版で、7回のリリース候補(RC)版リリースを経て正式版となった。

 本バージョンの新機能としては、まずUSB 3.1 SuperSpeedPlus(SSP)プトロコルがサポートされたことがある。USB 3.1 SuperSpeedPlusでは最大10Gbpsでの伝送が可能で、同プロトコルをサポートしたストレージと高速なやりとりが可能になる。

 また、新たに分散ファイルシステムOrangeFSが実装された。OrangeFSは1993年にスケールアウト型の並列ストレージシステムとして開発され、PVFSという名称で呼ばれていたもの。さまざまなツールやライブラリ経由でアクセスできるほか、マウントして一般的なファイルシステムのように扱うことが可能となる。

 メモリが不足した状態になった際にプロセスを自動的に停止させるOut Of Memory task killer(OOM killer)の信頼性を強化するため、oom_reaperという特別なカーネルスレッドが追加された。また、Intelの次期CPUで搭載予定のメモリ保護キーのサポートも加わっている。

 アプリケーションレイヤのプロトコルを加速するKernel Connection Multiplexor(KCM)も導入された。TCP上にメッセージ型のインターフェイスを提供するもので、アプリケーションが効率よくアプリケーションプロトコルメッセージの送受信ができるという。

 ルーティングプロトコルB.A.T.M.A.N.(Better Approach To Mobile Adhoc Networking)では、IVの後継となるVプトロコルがサポートされた。また、イーサネット上での暗号化標準IEEE 802.1AE MACレベルの暗号化(MACsec)もサポートされた。

 そのほか、cgroup関連ファイルの名前空間による分離を実現するための「cgroup namespaces」機構やGPUとCPUの間でキャッシュの一貫性をコントロールする「dma-buf」、ファイルシステムの整合性をチェックするOCFS2なども新たに導入されている。

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