Linuxカーネル4.4リリース、オープンチャネルSSD対応や仮想GPUドライバでの3Dサポートなどが行われる
Linus Torvalds氏は1月10日、最新のLinuxカーネル4.4のリリースを発表した。オープンチャネルSSDのサポートや仮想GPUドライバでの3Dサポートなどが追加されている。
2015年11月初めに公開されたLinuxカーネル4.3に続くもので、8回のリリース候補(RC)を経ての最新版となる。本リリースでの大きな新機能としてはループブロックデバイスにおけるDirect I/Oおよび非同期I/Oサポート、仮想GPUドライバでの3Dサポート、LightNVMによるオープンチャネルSSDサポート、ロック無しでのTCPリスナハンドリング、RAID5 MDでのジャーナルサポート、eBPFの改良、ブロックポーリングサポート、mlock2システムコールの改善などが挙げられている。
ループブロックデバイスにおけるDirect I/Oや非同期I/Oサポートによって、より高速かつ効率的なアクセスが可能になった。これにより、メモリ使用量の削減やキャッシュ重複の回避などが行えるという。
また、Virgil 3Dプロジェクトで進められていた仮想GPUドライバにおける3Dサポートが導入され、仮想ゲストで3Dハードウェアアクセラレートグラフィックを利用できるようになった。ドライバではこのほか、AMD Stoneyのサポートが加わり、AMDGPU関連も強化した。カーネルモードのみだが、Raspberry Pi KMSドライバのサポートも加わっている。
本バージョンで導入されたLightNVMは、OS側での領域管理が必要なオープンチャネル型SSDを扱うための機構。一般的なSSDではファームウェアがこのような管理処理を行っているが、これをOS側が行うことで効率的なデータの配置やガベージコレクション、並列処理などを行えるようになるという。ストレージ関連ではほかにもMD(RAID/LVM)レイヤでジャーナル化されたRAID 5のサポートが加わっている。特定のIO向けにポーリングをサポート、遅延をはじめとしたスループットを改善するという。
BPF(Berkely Packet Filter)の拡張命令セットであるeBPFのサポートも改善され、特権のないeBPFやパーシスタントeBPFマップ/プログラムをサポートした。perfとeBPFとの統合も進められている。また、mlockシステムコールを改善したmlock2では、ページフォールト発生時のメモリの扱いをより柔軟にコントロールするためのシステムコールで、これを利用することでロックするメモリを要求することが可能となる。
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