Linuxカーネル4.0リリース、ライブカーネルパッチを導入

 Linus Torvalds氏は4月12日、Linuxカーネルの最新版となる「Linuxカーネル4.0」をリリースした。メジャーバージョン番号は4に上がっているが、内容としては「かなり小規模なリリース」としている。これは安定性に主眼を置いたTorvalds氏の方針に沿ったものだという。

 2月中旬に公開されたLinuxカーネル3.19に続くリリースとなる。Linuxカーネル3.19の公開後、Torvalds氏はGoogle+にて次期版の名称を「Linux 3.20」とするか、以前構想を明かした通りに「4.0」とするかについてオンライン投票の形で意見を募った。投票では少しの差(56%対44%)で「4.0」が上回っており、その後2月末に初のリリース候補版を「Linux 4.0」として公開した。今回のバージョン番号の変更については「数字が大きくなることを避けること」を目的としており、Torvalds氏も「4.0の前提は、新しい実験的な機能よりも安定版リリース」でありこれに沿うものと記している。

 大きな変更点として、再起動をせずにカーネルにパッチを適用できる基礎的な仕組みが導入された。米Red Hatのライブパッチツール「kpatch」とSUSEのライブパッチツール「kGraft」をサポートする。一方でremap_file_pages()システムコールは削除された。この機能のエミュレーションは残るため、アプリケーションの動作に影響がでることはないという。

 ファイルシステム側ではパラレルNFS(pNFS)ブロックサーバーのサポートが加わり、btrfsでのRAID 5/6も改善した。また、ubifsファイルシステムでマルチキューブロックレイヤーをサポートし、準仮想化のvirtioはバージョン1.0となった。ext4ではlazytimeファイるシステムオプションのマージも行われており、ファイルシステムに多数のI/Oを加えることなく正確なアクセス時間を効率的に追跡できるとしている。overlayFSでは複数のリードオンリーレイヤーのサポートが加わっている。

 このほかにも、perfツールの改善など多数の細かな機能強化が施された。IBM s/390 z13プロセッサなど、新しいプロセッサ、ハードウェアのサポートも加わっている。

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