Linuxカーネル4.2リリース

 Linus Torvalds氏は8月30日、最新のLinuxカーネルとなる「Linuxカーネル4.2」のリリースを発表した。2か月以上を空けての最新版リリースで、多数の機能が盛り込まれている。

 6月末に公開されたLinuxカーネル4.1に続くもので、約10週間と長いリリースサイクルとなっている。その間8回のリリース候補(RC)版がリリースされた。4.2の公開は当初8月23日を予定していたが、1週間遅れた格好となる。

 大きな変更としては、AMDのGPU向けDRMドライバ「AMDGPU」がマージされた点 がある。このドライバでは、Radeon R9 285や今後登場するGPUがサポートされる。GPU関連ではIntelの「Broxton」の初期サポートや、i915ドライバの追加なども特徴となる。

 また、Linuxセキュリティモジュールではスタッキングパッチをマージした。これによってセキュリティポリシー作成に柔軟性が加わるという。delay-gradient congestion-control(遅延勾配輻輳制御)アルゴリズムもマージされた。利用可能な帯域幅を最大利用する手法で、これにより性能の改善が図れる。

 メモリ管理関連では、コントロールグループのライトバック管理を強化した。メモリコントロールグループを使用するシステムにおけるメモリ管理を改善するという。また、不揮発性メモリへの高速アクセスのための基盤も導入した。

 セキュリティでは暗号化関連が強化され、ランダムな数字を生成するJitter RNG(Random Number Generator)や新しいRSA実装などが加わった。また、krngに代わりDRBGがデフォルトの暗号化API RNGとなった。

 x86向けの新しいネットワークプロトコルGENEVE(Generic Network Virtualization Encapsulation)もサポートした。VMwareが中心に開発した仮想化カプセル化で、既存のVXLAN、NVGREのスーパーセットとなる。

 性能関連ではスケジューラーの強化のほか、キューベースのスピンロックも導入されている。

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