snapパッケージやLXD、ZFSサポートなどが加わった「Ubuntu 16.04」(Xenial Xerus)リリース
英Canonicalは4月21日(英国時間)、LinuxディストリビューションUbuntuの最新版「Ubuntu 16.04」(開発コード「Xenial Xerus」)を公開した。5年サポートのLTS(長期サポート版)となり、snapパッケージフォーマットやハイパーバイザーLXD、ZFSなどのサポートといった新機能が加わっている。
Canonicalは4月と10月の年2回のリリースサイクルをもち、LTSは2年に一度リリースされる。Ubuntu 16.04は6回目のLTS版となり、IBM Zのサポートも加わった。初めてメインフレームでサポートされるLTS版としている。サポートは2021年4月まで。
Ubuntu 16.04はLinuxカーネル4.4をベースとする。アプリケーションパッケージフォーマット「snap」のサポートが導入された。IoT向けの「Snappy Ubuntu Core」で先行実装されていたもので、アップデートを高速にシンプルに行え、安全性にも優れるというのが特徴。スマートフォンなど小型デバイスからクラウドまでさまざまなフォームファクタ向けのアプリケーションに利用でき、スマートフォン、タブレット、IoT、PCが融合するCanonicalのコンバージ戦略にとって重要な技術と位置付けている。既存のdeb形式パッケージと併存する形になっており、ソースや既存のdebパッケージから簡単にアプリケーションの構築とパッケージができるsnap作成ツール「snapcraft」も提供される。
クラウド側では、LXDコンテナハイパーバイザーを導入した(LXD 2.0)。既存の仮想化技術と比較して14倍の高密度化が可能で、Linuxゲストの速度も大幅に改善するという。OpenStackは4月に公開された最新版「OpenStack Mitaka」をサポートし、OpenStack向けのハイパーバイザーとしてLXDを利用することで、メディアのトランスコードとストリーミング、テレコムのネットワーク機能仮想化(NFV)、財務向けのリアルタイム分析などの作業に適したクラウドインフラを構築できるとしている。
Oracleが開発するファイルシステムZFS対応として、ZFS-on-Linuxを導入した。スナップショット、コピーオンライト、継続的インテグレーションなどのZFSの機能を利用できる。また、分散ファイルシステムCephFSもサポート、クラスタコンピューティング向けの大規模なエンタープライズストレージに適しているという。
サーバー側ではこのほか、Juju 2.0、Docker 1.10、Qemu 2.5、libvirt 1.3.1、MySQL 5.7などもサポートする。デスクトップはほぼGNOME 3.18にアップデートし、ソフトウェアライブラリは高速な体験を提供するため、「Ubuntu Software Center」に代わって「GNOME Software」となった(名称は「Ubuntu Software」)。Chromiumはバージョン48に、Firefoxはバージョン45にアップデートし、LibreOfficeは5.1になった。
Ubuntu 16.04 LTSはCanonicalのWebサイトよりダウンロードできる。
なお、ZFSはCommon Development and Distribution License(CDDL)でリリースされているが、CDDLはGPLとは互換性がない(CDDLでライセンスされたソフトウェアをGPLでライセンスされたソフトウェアとリンクして一緒に配布することはできない)と言われている。ZFS-on-LinuxプロジェクトもWebサイトでこの点について注意喚起をしており、Free Software Foundation(FSF)などからはUnumtu 16.04でGPLv2のLinuxカーネルとZFS-on-Linuxを一緒に配布することの問題点が指摘されている。そのため、今後ライセンスに関する訴訟問題に発展するおそれもあるようだ。
Ubuntu
http://www.ubuntu.com/