「Ubuntu 15.10」リリース、OpenStack Libertyをサポート

 英Canonicalは10月22日、Linuxディストリビューション「Ubuntu」の最新版「Ubuntu 15.10」(開発コード「Wily Werewolf」)をリリースした。最新版OpenStackのサポートなど、さまざまな機能強化が図られている。

 4月に公開された「Vivid Vervet」こと「Ubuntu 15.4」に続く最新版となる。Linuxカーネルはバージョン4.2を採用し、ARMのACPIサポート、LSM(Linux Security Module)Stackingなどのアップストリームの新機能が利用できる。Ubuntu固有の強化としては、コンテナ増加が引き起こすIPアドレス不足問題を解決するネットワークアドレス空間向けの「FanNetworking」などがある。

 クラウド関連では、10月に公開されたばかりの「OpenStack Liberty」が利用可能となった。OpenStack LibertyはUbuntu 14.04 LTS向けにも提供されるとのこと。また、OpenStackクラウドの構築および管理を行うためのツール「OpenStack Autopilot」が正式版(GA)となった。CanonicalのOpenStackリファレンスアーキテクチャをベースに、ベアメタルサーバー群からOpenStackクラウド環境を自動構築できる。Ubuntu 14.04 LTSおよびOpenStack Kiloにも対応し、OpenStackとの相互運用性を検証する統合テストOpenStack Interoperability Lab(OIL)を利用する。Canonicalによると、UbuntuはOpenStack環境の構築にもっとも利用されているディストリビューションとのことだ。

 サーバー関連では、マシンコンテナハイパーバイザー「LXD」がデフォルトで利用できるようになった。Ubuntu、CentOSなどのLinuxゲストをホスティングするコンテナハイパーバイザーで、イメージ管理、スナップショット、ライブマイグレーション、セキュリティプロファイル、IPv4/IPv6のサポートなどの機能を持つ。オープンなRESTful APIも備え、これを利用したプラグインnova-compute-lxdがOpenStack Libertyで技術プレビューとして提供される。

 DPDK(Data Plane Development Kit)も技術プレビューとして導入した。高速ネットワークパケット処理のためのパッケージで、データプレインライブラリ、ネットワークインターフェイスコントローラードライバなどを含む。

 LXDなどを管理できるMAAS(Metal as a Service)も改良され、MAASそのものもWebインターフェイスを再設計し、各ブラウザ、PC、モバイル端末でのレスポンス性を改善した。

 これらに加えて、libvirt 1.2.16、qemu 2.3、Open vSwitch 2.4.0、Ceph 0.94.3なども最新版にアップデートされた。

 デスクトップ版では、QtとQMLベースの「Unity8」を技術プレビューとして搭載、デスクトップ、スマートフォンなどをシームレスに利用するCanonicalのコンバージェンスビジョンを実現し、起動中のアプリ間でマルチタスクが可能となるウィンドウ化モードなどの機能が加わった。さらに、「Music」やメールクライアント「Deko」などのアプリでは小さなフォームファクタを持つデバイスからデスクトップまでをサポートするようになった。Unity8にアプリを対応させる開発者向けのサポートも強化する。デフォルトのUnity7でも、バグの修正、Dashでの使い勝手の改善などが行われている。

 コンテナなどを想定した軽量版「Ubuntu Core」関連も強化し、開発ツールの「Snapcraft」の最新版を導入した。これにより、Ubuntu Core向けの「snap」(アプリ)を容易に開発できるという。前バージョンで導入した開発者向けツールの「Ubuntu Make」では対応するプラットフォームが14から20種になった。

Ubuntu
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