クラウドとコンテナを強化した「Ubuntu 15.04」リリース

 4月23日、Ubuntuの最新版「Ubuntu 15.04」(Vivid Vervet)がリリースされた。Ubuntuを開発する英Canonicalは4月22日(英国時間)に新機能について説明、サーバー版ではコンテナとクラウド(「OpenStack」)がメインになるとした。開発を進めているクラウドおよびモノのインターネット(IoT)向けの軽量版「Snappy Ubuntu Core」も初の安定版として含まれる予定だ。

 Ubuntu 15.04は、2014年10月に公開された「Ubuntu 14.10」(Utopic Unicorn)に続く最新版。Cacnonicalは4月と10月の年2回リリースサイクルを持ち、9か月のサポート期間を持つ通常版に加えて、2年おきに5年のサポート期間を持つLTS(長期サポート)を公開する。最新のLTSは2014年4月に公開された14.04(Trusty Tahr)で、次回は2016年4月にリリース予定。

 15.04はLinuxカーネル3.19.3を採用し、デフォルトのinitデーモンがsystemdとなった。Server版ではコンテナとクラウドにフォーカスして機能強化が進められているとのことで、コンテナでは、Linuxコンテナ技術LXCをベースとした「コンテナ・バイザー(コンテナ向けハイパーバイザー)」であるLXD(Linux Container Daemon)を導入した。仮想マシンのようにコンテナのプロパティを表示できるようにすることで、マルチホスト環境のコンテナ管理を容易にし、高密度化と速度を改善するもの。システムレベルのデーモンとして動き、REST APIを利用してコンテナ環境を遠隔から操作することもできるという。コンテナのライブマイグレーションやセキュリティプロファイルの設定などの用途に適しているとしている。。また、Dockerはバージョン1.5をサポートした。

 クラウド関連では、4月末公開予定の「OpenStack」の最新版「Kilo」をベースとしたUbuntu OpenStackを含む。ネットワーク関連コンポーネント「Neutron」における動的な仮想ルーティング(DVR)サポートなどKiloで強化された機能を利用できるという。また、新たに「Designate」とよばれるサービスとしてのDNS機能も含まれ、ユーザーレベルDNSリクエストへセルフサービス型のアクセスを提供するという。コンピュートコンポーネントの「Nova」ではLXDをサポートし、LXDベースのコンテナインスタンスを起動できるという。

 これらに加え、ネットワーク関連でも「OpenvSwitch(OVS) 2.3.1」のサポート、ネットワーク機能の仮想化NFVなどをサポートした。Ceph OSDやBtrfsのサポートも強化されている。データベースでは「MySQL 5.6」および「Percona XtraDB 5.6」、「MariaDB 10.0.17」を、仮想化では「libvirt 1.2.12」、「QEMU 2.2」、「libguest-fs 1.28」などの最新版が含まれる。

 デスクトップ版では「Unity 7」を採用し、メニューの統合やダッシュボードの強化により使い勝手を改善した。また、開発ツールは「Ubuntu Developer Tools Centre」から「Ubuntu Make」へ刷新されている。隔離された開発環境を提供するもので、最新の「Android NDK」および「Android Studio」、IDEA、pycharm、webstormなどのモジュール、Firefox開発者版、Stencylゲーム開発者版などを含む。「LibreOffice 4.4」などパッケージも最新版にアップデートされている。

 15.04では、2014年末に発表した「Snappy Ubuntu Core」初の安定版も導入した。Snappyは最小構成で安全性の高いUbuntuエディションで、無人航空機(ドローン)、ロボット、ネットワークスイッチ、モバイル基地局、IoTホームハブといったクラウドコンテナのホストやスマートデバイスに最適としている。SnappyはDocker 1.6をサポートし、安全なアプリコンテナ化が可能。主要なパブリッククラウドやARMおよびx86デバイスで動くという。

 Ubuntuのデスクトップ版、サーバー版、クラウド版、およびUbuntu Kylinは英国時間4月23日よりダウンロードが可能。

Ubuntu
http://www.ubuntu.com/