「Samba 4.4」リリース、非同期フラッシュリクエストがサポートされる

 Windowsファイル共有やActive DirectoryのLinux/UNIX実装であるSamba開発チームは3月22日、最新版となる「Samba 4.4」をリリースした。プロジェクトのWebサイトより入手できる。

 SambaはWindowsとUNIX/Linuxの相互運用性を高めることを目指して開発が進められているソフトウェア集。Windowsファイル共有で使われるSMB/CIFSプロトコルやアカウント管理で使われるActive Directroyのフリー実装などが含まれている。

 Samba 4.4は、2015年9月に公開された「Samba 4.3」に続く最新版となる。非同期のフラッシュリクエストがサポートされ、SMB2/3クライアントからのフラッシュ要求を非同期で処理できるようになった。これによって処理中に他の要求を遮断することがなくなる。なお、この機能を利用するには「strict sync」を「yes」に設定しておく必要がある。

 また、samba-toolコマンドでは「-H」オプションを使ってLDB URLを特定することで、ローカル以外のデータベースを利用できるようになった。さらに「samba-tool domain demote」サブコマンドでは「–remove-other-dead-server」オプションが加わった。これを利用して、ドメインの初期クローンを結合せずに複製できるという。

 サーバーへの接続状況を確認できるsmbstatusコマンドも強化され、セッションと共有のための暗号化と署名の状態を表示するようになった。SMBサーバーからファイルをダウンロードするsmbgetコマンドでは「-u」と「-p」オプションが「-U」オプションに置き換わっている。このほか、Samba KCC、Samba DNSサーバー、Active Directoryなどでも強化が加わった。

 TDBデータベースのクラスタ実装CTDBでも多数の強化が加わった。たとえば、新たに並列データベースリカバリースキームを実装、これによりsmbdのデッドロックを回避できるという。

 これらに加えて、実験的機能としてSMB3 Multi-Channelに対応した。SMB3プロトコルの新しい機能で、クライアントが複数のトランスポート接続を組みあわせて1つのSMBセッションを作成できるもの。フォールトトラレンスとスループットの改善につながるとしている。

 一方で、いくつかのパブリックヘッダがインストールされなくなり、vfs_smb_traffic_analyzerとvfs_scannedonlyの両モジュールが削除されている。

Samba
https://www.samba.org/