「OpenStack 2015.2(Liberty)」リリース、コンテナ対応や大規模実装向け技術を強化
オープンソースのクラウド基盤技術「OpenStack」を開発するOpenStack Foundationは10月15日(米国時間)、最新版となる「OpenStack 2015.2」(開発コード「Liberty」)をリリースした。ソフトウェア定義ネットワーク、コンテナ管理、大規模な実装などの面で機能が強化されている。
OpenStackは春と秋の年2回リリースサイクルを導入しており、Libertyは4月に公開された「OpenStack 2015.1」(Kilo)に続く最新版で、通算で12回目のリリースとなる。164以上の企業や組織が貢献しており、約2000人近くの開発者が参加した。主として、管理、大規模な実装向けの性能、コンテナなどの新しい技術を管理するためのツールに主眼を置いて開発されている。
管理では細かなアクセス管理が可能となり、ネットワーキング「Neutron」(OpenStack Networking)、使用量計測と監視の「Ceilometer」(OpenStack Telemetry)、オーケストレーション「Heat」(OpenStack Orchestration)などに役割ベースのアクセス制御(Role Base Access Contorol)機能が加わった。共通ライブラリや構成管理も改善し、さまざまなレベルでセキュリティ設定を調整できるという。
大規模な実装向け技術としては、「Nova」(OpenStack Compute)で拠点との間の通信を処理するCellsがバージョン2となった。初期バージョン扱いだが、分散型の拡張を可能とする機能が加わり、ホストマッピング、インスタンスマイグレーションなどのインフラ技術が加わったと報告している。またダッシュボード「Horizon」(OpenStack Dashboard)、ネットワーキングの「Neutron」(OpenStack Networking)、ブロックストレージ「Cinder」(OpenStack Block Storage)などで拡張性と性能に関する強化が図られたという。
新技術の対応としては、Novaで拡張可能な演算スケジューラーが加わったほか、Neutronで「Load Balance as a Service」(LBaaS)の最新版を導入し、ネットワークのQoSに関連するAPIを利用できるようになった。また、Kubernetes、Apache Mesos、Docker Swarmといった管理技術に対応するコンテナ管理のためのAPI「Magnum」が初のフルリリースとして導入された。MagnumはNova、Neutron、「Ironic」(OpenStack Bare Metal)などの既存サービスと連携可能という。今後、ネイティブなコンテナネットワーキング技術と直接連携するためのプロジェクト「Kuryr」の開発も進めるという。
このほか、コンポーネント別にも機能が強化されている。たとえば、Heatでは、新しいオーケストレーションエンジンとしてConvergenceが加わった。リソース処理の並列性、すでに更新処理中のものに対するstack-updateの実行などの機能があるが、まだベータ扱いでデフォルトでは有効ではない。このほか、条件付リソース公開、REST API/heatclientの追加、それにBig Tentプロジェクトとして開発中の強化も加わっている。
OpenStack
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