「Ubuntu 14.10(Utopic Unicorn)」をリリース、PaaSのCloud Foundryをサポート

 英Canonicalは10月23日(英国時間)、人気Linuxディストリビューション「Ubuntu」の最新版「Ubuntu 14.10」(開発コードネーム「Utopic Unicorn」)をリリースした。デスクトップ向けでは開発者ツールセンターの導入が、サーバー向けでは「Cloud Foundry」サポートなどPlatform as a Service(PaaS)向け機能やビックデータ関連の強化などが行われている。

 4月に公開した「Ubuntu 14.04」(開発コード「Trusty Tahr」)に続くリリースで、サポート期間はリリースから9か月間。企業顧客については2年おきにリリースされる長期サポート版「Ubuntu 14.04 LTE」を利用するよう推奨している。

 Linuxカーネルにはバージョン3.16を採用し、またクラウドやサーバー向け機能に注力しているという。大きな特徴として、オープンソースのPaaSであるCloud Foundryに対応し、Ubuntuのサービスオーケストレーション「Juju」経由で利用できるようになったことがある。分散データ処理機構「Apache Hadoop」や「Apache Hive」や「Pig Latin」、「Apache Spark」、「Apache Storm」といった関連プロダクトのサポートも強化し、検索・解析エンジン「ElasticSearch」もサポートされた。JujuではGUIの強化や「Machine View」も導入されている。物理サーバーを仮想マシンのように扱ってデプロイやプロビジョニングなど管理できる「MAAS(Metal-as-a-Service)」を利用して、マシンレベルでのスケールアウトなどプライベート/パブリッククラウド上の複雑なワークロード管理の精度を高められるという。MAASでは、CentOS、openSUSEに加えて、Windowsゲスト(Windows Server/Hyper-V)のオーケストレーションも対応した。

 コンテナ技術では、LXC(Linux Containers、バージョン1.1)とDocker(バージョン1.2)に対応した。ユーザー権限でコンテナ作成や起動といったコンテナ管理を行う機能もサポートされている。

 クラウド関連では、公開されたばかりのOpenStack最新版「Juno」ことバージョン2014.2がサポートされている。これにより、IPv6サポート、Distributed Virtual RouterなどJunoの特徴を利用できる。たとえば、OpenStack charms、Juju、MAASでIPv6を利用できるようになり、OpenStack charmsのNetowrk Configサポートにより、異なるネットワークへのOpenStackコンポーネントのトラフィックフローを分離できるという。Canonicalによると、大規模なOpenStack実装の80%がUbuntuを利用しているという。

 ハードウェアアーキテクチャはARM/ARM64、x86、POWER8をサポート、ARM64のサポートについては、商用サポートするエンタープライスプラットフォームとしては初としている。

 デスクトップ向けでは開発者向け機能が強化され、「Ubuntu Developer Tools Centre」が導入された。開発環境の設定を容易かつ高速にするもので、たとえばコマンドを実行するだけでAndroidツールキットのダウンロードやインストールが可能になる。今後、GoとDartにもサポートを拡大する予定だ。

 「Unity」では多数のバグ修正により安定性を強化した。また、「LibreOffice 4.3」や「Firefox 33」、「Chromium 38」、「Rhythmbox」、「Qt 5.3」、「GTK 3.12」など、ソフトウェアも最新のものにアップデートされている。ChromeでのNetflix視聴も可能となり、TV番組や映画をUbuntuデスクトップで直接ストリーミング再生できる。

 なお、Canonicalは10月20日、2015年4月にリリースする次期版「Ubuntu 15.04」についてその開発コードを「Vivid Vervet」とすることを発表している。

Ubuntu
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