「Qt 5.3」リリース、Windowsストアアプリ向けランタイムにベータ対応
フィンランドDigiaは5月20日、オープンソースのUI/アプリケーション開発フレームワーク「Qt 5.3」をリリースした。Windowsストアに対応するランタイム環境がベータ機能として利用可能になったほか、既存機能も多数強化されている。
Qtはクロスプラットフォームのユーザーインターフェイス(UI)およびアプリケーションフレームワーク。Qt 5.3は2012年12月に公開されたバージョン5.2に続くリリースとなる。Qt 5.2はiOSとAndroidの正式対応が目玉機能だったが、Qt 5.3では安定性、性能、使い勝手にフォーカスしているという。
たとえば、デスクトップ向けではMac OS X Mavericks(10.9)の互換性に関する複数の問題が修正された。また、Windows向けではVisual Studio 2013向けのバイナリパッケージも追加されている。Visual Studio 2013上での「Qt Visual Studio Add-in」の利用も可能という。
Android向けでは必要なビルドツールがインストールされているかを自動チェックするインストールウィザードが導入されたほか、iOSおよびAndroidの両プラットフォームで「Qt Positioning API」のサポートも加わった。これにより、Qt APIからGPSを直接利用できるという。Qt Bluetooth APIでのAndroidサポートも加わっている。
また、新たにベータ段階になった機能として、「Qt for Windows Runtime」がある。これはWindows Phone 8、Windows RT対応デバイス、デスクトップのモダンUIすべてをカバーするランタイム環境で、Qt for Windows Runtimeを利用するアプリケーションはWindowsストアやWindows Phoneストアでリリースできるという。このほか、BlackBerryのQNX 6.6およびQNX 6.5 SP1のサポートも加わった。
新機能としては、新しいクラスQQuickWidgetが導入された。Qt QuickコンテンツをQWidgetベースのアプリケーションに組み込むことができるQWidgetで、Qt Widget UIとQt Quick UIの橋渡しを行うものだという。WebSocketプロトコルにC++とQML APIを提供するモジュールQt WebSockets APIも加わった。デバイスとアプリケーション間の双方向通信のための機能で、クライアントアプリケーションとサーバーの両方で実装できる。モバイルアプリのアプリ内購入機能を容易に組み込むことができるQt EnterpriseアドオンのQt Purchasing APIも導入された。
Qt開発チームは合わせて、クロスプラットフォームの統合開発環境(IDE)の最新版「Qt Creator 3.1.1」もリリースしている。
Digiaは同時にサブスクリプションサービス「Qt Enterprise」において、モバイルプラットフォームをターゲットとした開発者向けサービスを用意したことも発表している。
Qt
http://qt.digia.com/