UIプラグイン機構を導入した「Apache CloudStack 4.2」リリース
Apache CloudStack開発チームは10月1日、クラウド基盤ソフトウェア「Apache CloudStack 4.2」をリリースした。3月にトップレベルプロジェクト(TLP)となってから2回目のリリースとなり、サードパーティ向けUIプラグインアーキテクチャの導入などが加わっている。
CloudStackは、Infrastracture as a Service(IaaS)型クラウドサービス環境を構築するためのソフトウェア集。これを利用して、パブリックおよびプライベートクラウド環境を構築できる。米Citrix Systemsが買収したCloud.comの技術を元に開発していた「CloudStack」を起源とする。Citrixは2012年にCloudStackをApache Software Foundation(ASF)に寄贈、今年3月にTLPに昇格した。仮想化技術にはXenServer/XCPおよびKVM、VMware(vSphereとVMware ESXi)をサポートし、仮想マシンの操作や管理を行うためのネイティブAPIや操作できる仮想リソースを制限できる権限設定機能(マルチテナント)、多階層ネットワーク構成のサポートといった特徴を備える。プロジェクトは9月末、PythonベースのApachCloudクラウドの管理ツール「Apache CloudStack CloudMonkey 5.0」も公開している。
CloudStack 4.2は2012年11月に公開されたバージョン4系の最新版で、50以上の新機能が加わった。大きな変更点としては、サードパーティによるUIプラグインフレームワークの導入がある。これを利用してJavaScriptやCSSを利用した拡張機能の作成やインストールが可能となる。インストールして有効にしたプラグインは、ユーザーのUI画面に表示される。
ヘテロジニアスなワークロード対応としては、4.1で導入したリージョン機能を強化した。リソースを地理的なリージョンにグループできるオプションで、複数のアベイラビリティゾーンで構成される。フォールトトラレントやディザスタリカバリ対策に適しているという。利用記録もリージョン単位で追跡可能で、レポートや請求書作成などに利用できるという。
また、オブジェクトストレージをテンプレート、ISO、スナップショットを格納するセカンダリストレージとして利用できるようになった。これにより拡張性、性能、可用性などを強化できるという。また、同一リージョン内の複数のゾーンでデータにアクセスできるため、テンプレートやスナップショットのコピーも不要になる。プライマリストレージでは、ゾーン単位でのプロビジョンが可能になった。また、VMwareベースのデータセンターをCloudStackが認識し、ゾーンにマッピングすることも可能になっている。
ネットワーク関連では、IPv6サポートが技術プレビューとして加わっている。KVMハイパーバイザー上で仮想プライベートクラウド(VPC)のサポートが加わり、VPCは負荷分散の設定も可能になった。
このほか、アップグレードやインストール作業手順などの簡素化も行われている。
Apache CloudStack 4.2はプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。ライセンスはApache License 2.0。
Apache CloudStack
http://cloudstack.apache.org/