KDE 4系の最終版「KDE SC 4.11」リリース、Waylandの実験サポートも追加

 The KDE Communityは8月14日、デスクトップ環境KDEの最新版「KDE Software Compilation 4.11(KDE SC 4.11)」をリリースした。「KDE Frameworks 5」ベースに移行する前のリリースとなり、「KDE Plasma Workspaces」および「KDE Applications」、「KDE Development Platform」の3つのコンポーネントが揃ったリリースとしては最後となる。

 KDE SCはデスクトップ環境のKDE Plasma Workspaces、アプリケーションのKDE Applications、開発環境のKDE Development Platformで構成される。4.11は6か月前の今年2月にリリースされたバージョン4.10に続くKDE SC 4系の最新版となる。KDEは現在「KDE Frameworks 5」への移行を進めており、4.11は4系最後のリリースで移行をサポートするLTS(長期サポート版)となる。

 デスクトップ環境を提供するPlasma Workspacesでは、ウィンドウマネージャの「KWin」で初となるWaylandサポートが追加された。まだ実験的という段階だが、Waylandコンポジタをレンダリングのターゲットとして利用できる。ただし、Waylandクライアントの管理はできない。アーキテクチャとしては、Waylandシステムコンポジタに対しKWinがWaylandセッションコンポジタとして動くという構造という。KWinではこのほか、OpenGL 3.1およびOpenGL ES 3.0のサポート、XCB通信プロトコルの統合、スクリプティングインターフェイスの改良なども特徴となる。

 また、タスクバーはUIフレームワーク「Qt Quick」を利用して実装されるようになった。これまでのタスクバーと同じような外観と機能を維持しつつ、長期にわたって存在していたバグを修正し、動作に一貫性を持たせたという。システム設定ではモニタ設定用の「KScreen」が導入された。マルチモニタのサポートを改善し、新しい画面の自動設定、過去の手動設定の記録などの機能が加わっている。

 KDE Applicationsではファイルマネージャの「Dolphin」の改善が行われている。容量の大きなフォルダの読み込みが高速化され、メモリ使用も30%削減されているという。個人情報管理の「Kontact Suite」でも安定性、性能、メモリ使用量を改善した。そのほか、電子メールヘッダ向けのテーマエディタが新しくなり、電子メールの送信をタイマー設定できる「Send Later」などの機能も加わっている。

 テキストエディタ「Kate」ではPython 2/3系、JavaScript、jQuery、Django、XML向けの新しいプラグインを導入された。ほかにも静的・動的な入力補完、シンタックスチェッカー、コードスニペットの挿入などの機能が加わっている。

 KDE Development Platformは4.9リリースから機能をフリーズしており、最新版でもバグ修正が中心となった。これにより、セマンティックストレージ/検索エンジンのNepomukなどで安定性と性能を強化した。

 KDE SCはプロジェクトのWebサイトよりダウンロードできる。

The KDE Community
http://kde.org/