カラーマネジメント機能が加わった「Wayland 1.2」リリース
X Window Systemの代替を目指すディスプレイサーバー「Wayland」開発チームは7月12日、最新安定版「Wayland 1.2.0」とそのリファレンス実装「Weston 1.2.0」を公開した。カラーマネジメントやサーバーAPIの安定などが特徴となる。
WaylandはKristian Høgsberg氏が2008年に開始したディスプレイサーバーの開発プロジェクト。X Window Systemに代わるディスプレイサーバーを開発することを目標としている。画面表示を担うコンポジタ(compositor)とクライアント間で通信に利用されるプロトコルも独自で開発しており、モダンかつ軽量なアーキテクチャといった特徴を持つ。ライセンスはMIT License。
Wayland 1.2.0は4月中旬に公開された1.1.0に続く最新版となる。「Stable wayland-server API」として、ディスプレイサーバー向けAPIを初めて「安定版」というステータスに更新した。Wayland 1.0のリリース時はサーバー側のAPIについて安定性を約束しておらず、新しいバージョンではコンポジタの互換性がなくなる可能性についても言及されていた。この背景について、Westonだけなら大きな問題ではないが、外部のWaylandコンポジタが増えていることから安定性が必要と判断した、と説明している。安定化により、Westonをはじめとしたコンポジタは今後最新版のWaylandを利用できるようになる。クライアントAPIについては、1.0リリース時にStableとなっている。
そのほかの新機能としては、カラーマネジメント機能の導入がある。Westonでは、weston.iniからプロファイルを読み込むシンプルなCMSプラグイン、colordと統合できる高度なプラグインの2つのスキームを実装した。
また、「Wayland Input Method Framework」も完成したという。だが、正式にWayland APIにする前に、フィードバックなどを得る必要があるとしている。このほか、HiDPI(Retina)で適切なサイズに表示するための出力スケーリング、クライアントライブラリ(libwayland-client)でのスレッドセーフ強化、Raspberry Pi向けのレンダラーとバックエンドなども特徴となる。セットトップボックスなどフルキーボードを必要としない環境に向け、XKB Common library(libxkbcommon)もオプションとなった。
WaylandはFedoraやKDEなどがサポートする予定だが、UbuntuのCanonicalはLinux向けのディスプレイサーバーとして「Mir」の開発を進めており、先に次期版「Ubuntu 13.10」でMirをデフォルトのディスプレイサーバーとする計画を発表している。
Wayland
http://wayland.freedesktop.org/