英語版およびドイツ語版Wikipedia、MySQLからMariaDBへ移行
Wikipediaなどを運営するThe Wikimedia Foundationは4月22日、英語版およびドイツ語版のWikipediaおよびWikidataで使用するデータベースをMySQLから「MariaDB 5.5」に移行させたことを発表した。MySQLからMariaDBに移行した理由として、その性能やフリーソフトウェアへの支援を挙げている。
Wikipediaなどを運営するWikimedia Foundationは、これまでFacebookが独自にカスタマイズして公開しているMySQL 5.1を主に使用していたという。性能には満足していたというが、MariaDBでのクエリオプティマイザの改善、Perconaの「XtraDB」などのアドオン、そしてOracleがリリースしているMySQL 5.5への不満が移行を検討する要因になったという。同時に、「フリーカルチャーの支持者として、フリーソフトウェアプロジェクトを好んでいる」とも述べ、MySQL関連コミュニティの世話役とも言えるMariaDB Foundationを歓迎して支援したいと、MariaDBを選択した背景を説明している。MariaDBはMySQLの開発者らがMySQLからフォークして立ち上げたプロジェクトで、MySQLと互換性がある。
2011年後半時点でWikimediaプロジェクトの一部の言語ではまだ「MySQL 4.0」を利用しており、5.1へのアップグレードはスキーマ変更が必要だったこと、MySQL 5.5では互換性が失われていた部分があったこと、クエリオプティマイザの変更により共通クエリの実行プランも変わることがあることなどから、たくさんのテスト作業が必要だったという。運用環境外でMariDB環境を作成し、Percona Toolkitのpt-upgradeなどを使って互換性テストを行った。その結果、MediaWikiの問題と合わせてMariaDB 5.5.28や5.5.29でのバグを見つけたが、MariaDBチームにすぐに対応してもらったという。
性能については、平均のレスポンス時間が15.4ミリ秒から12.7ミリ秒に短縮できたと報告している。多くのクエリは4~15%高速化されたいっぽう、一部のクエリでは5%遅くなるとのことだ。なお、Wikipediaはエッジキャッシュ技術を多用しており、アプリケーションレイヤではmemcachedとredisも併用しているという。
それ以外の移行はシームレスに行え、性能も良好としており、今後残りのシャードの移行を進めるとしている。MariaDBが現在開発中のバージョン10で予定しているグローバルトランザクションIDなど、今後の機能開発についても期待を寄せている。
The Wikimedia Foundation
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