仮想化技術「Xen」開発プロジェクト、米Citrixを離れLinux Foundation傘下に
Linuxの普及推進や開発支援を行っている非営利団体The Linux Foundationは4月15日(米国時間)、オープンソースの仮想化ソフトウェア「Xen」開発プロジェクトを同団体が支援を行う「Collaborative Project」とすることを発表した。今後、同団体の下で独立したオープンソースプロジェクトとして運営される。
Xenはオープンソースで開発が進められている仮想化ソフトウェア。開発プロジェクトが発足してから今年4月で10周年を迎えており、企業内での仮想サーバー構築やVPS、クラウドサービスなどさまざまな用途で多数の導入実績を持つ。ユーザーは1000万人以上という。ライセンスはGPLv2。
Xenは当初開発者が創業した米XenSourceの下で開発が進められていたが、2007年に米Citrix Systemsが同社を買収、以後はCitrixの下でオープンソースの「The Xen Project」として運営されてきた。Linuxカーネルとは別々に開発されているものの、Linuxカーネル3系ではXenのコードがマージされており、カーネルを変更することなくXenのホスト/ゲストどちらにも利用できる。
Collaborative Projectは、Linux Foundation下で運営される独立したプロジェクトとしてガバナンス体系などの要件を満たす必要がある。Linux Foundationによると、Citrixは1年前からXenプロジェクトをベンダー中立なガバナンスモデルにするための作業を行っているという。今後、Linux Foundationがオープンソースプロジェクトに必要なインフラストラクチャやフォーラム、ガイダンスなどのサービスを提供する。
Linux Foundation下でのXen Project発足にあたって、Citrixのほか米Amazon Web Services、米AMD、米Cisco Systems、米Google、米Intel、米Oracleなどの企業が創設メンバーに名を連ねている。
Linuxが採用するKVMなどその他の仮想化技術に与える影響については、今後もオープンソースモデルの下で選択肢を提供するとしており変化はないようだ。KVMについては、今後も開発者コミュニティと協業し、年次イベントKVM Forumの支援も継続して行うという。Linux Foundationの執行ディレクター、Jim Zemlin氏は、「KVMとXenはそれぞれ利用例が異なり、メリットも異なる」とし、両方の技術を支援することでLinuxの仮想化の進化につながると述べている。
The Linux Foundation
http://www.linuxfoundation.org/
Xen Project
http://www.linuxfoundation.org/content/xen-project