Mozilla、WebKitベースのiPad向けWebブラウザ「Junior」を披露
Mozillaは6月14日、iPad向けのWebブラウザ「Junior」を開発中であることを明らかにした。Mozillaはレンダリングエンジンとして「Gecko」を採用していたが、JuniorはWebKitをベースとしたものとなる。
JuniorはMozillaのプロダクトデザイン戦略チームが組織内で進めているプロジェクトとして紹介されている。iOSではAppleの規約のため独自レンダリングエンジンを用いたWebブラウザの配布が難しいが、JuniorはWebKitをベースとしており、タブレット上でフル機能のWebブラウザを提供するという。画面の左右に「戻る」ボタンおよび「プラス」ボタンを配置しているが、ほとんどの操作をジェスチャーベースで行える。発表されたプロトタイプはJavaScriptで作成されているが、今後Objective-Cベースの実装を行う可能性も示唆している。
現在MozillaはiOSに向けてWebブラウザの履歴やブックマークの表示、開いているタブへのアクセスができる「Firefox Home」のみを提供している。同チームのAlex Limi氏は、「iOSは最大のコンシューマー向けプラットフォーム」と認めると同時に、Mozillaが現在iOS向け製品をリリースできていないことも述べ、「WebKit以外を使用したWebブラウザはiOS向けには提供できない。しかし、レンダリングエンジンを変更してでもiOSでFirefoxを展開する必要がある」とJuniorに関する開発の背景を説明している。
Mozillaはこの日、Juniorの他に検索機能「Search Tabs」やソーシャルアプリとの連携を強化する「Presence」も開発中のプロジェクトとして発表している。Search Tabsは検索サービスを選ぶ現在の検索ボックスに代わるもので、画面左に検索サービスのアイコンを並べて検索エンジンの使い分けを容易にする。
Limi氏はこれら最新の取り組みについて、「Mozillaは現在、Google Chrome、iOS、Androidなどの技術の影響を受け、後を追う立場にある」と認め、「Mozillaを崩壊させるのはMozillaであるべきだ」と述べている。
Limi氏はこれら3つのプロジェクトの製品化について具体的な時期は明らかにしていないが、製品化に向けて開発作業を進めていく方針を示している。
Mozilla
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