Mozilla、ARM版「Windows 8」においてIEは特権的地位を持っていると抗議

 Firefoxを開発するMozilla Foundationが、米Microsoftが2012年内にリリースを予定している次期OS「Windows 8」のARM版について、「MicrosoftはInternet Explorer(IE)以外のブラウザを閉め出そうとしている」と抗議している。Webブラウザに選択肢が生まれる2004年以前の「デジタル暗黒時代に回帰することになる」とMozillaは警告する。

 MozillaのプロダクトマネージャAsa Dotzler氏と法務顧問のHarvey Anderson氏が5月9日、それぞれブログで報告した。それによると、Microsoftはx86版Windows 8においてはすべてのWebブラウザに同じ権限を与えているが、ARM版では同じ権限を与えていないという。

 ARM向けWindows 8(「Windows RT」)では「Windows Classic」と「Metro」環境の2種類があるが、サードパーティはMetro環境向けのアプリケーションしか開発できない。しかしMetro環境では制限が多く、従来通りのClassic環境で動くIEの方が速度、安定性、セキュリティの面で高度な機能にアクセスでき、パワフルになってしまうとMozilla側は主張している。Dotzler氏は、Windows Classicでしか利用できないAPIは「モダンなWebブラウザを構築するのに絶対に不可欠なものであり、そのためほかのブラウザは機能と性能という点でIEと競争できなくなる」と述べている。

 Anderson氏はこれについて「ユーザーの選択肢を制限し、競争を損なうもの」とし、さらに「新しいプラットフォームロックインにつながる第一歩」「この影響を受けるのはタブレットユーザーだが、ARMはPCにも拡大することから将来はPCユーザーも関係する」などとも記している。

 MozillaはMicrosoftに対し、ユーザーに選択肢を与えるという主義を堅守するよう求めている。ARM上で動くWindowsをWindowsの新しいバージョンとみなすなら、このような行為は、独占禁止法訴訟にあたって欧州連合が設定した義務を怠るものであり、米司法省が禁じようとしたことを再現するものとも指摘している。

Mozilla Foundation
http://www.mozilla.org/