大量のプラグインで機能を拡張できる常駐ユーティリティ「TTBase」

 デスクトップやウインドウの機能を拡張するユーティリティツールはWindowsの使い勝手をよくし、パソコンを使った作業の能率を格段と高めてくれる。だが、多数のユーティリティを常駐させると操作や管理が面倒になるばかりか競合問題を起こしかねない。そこで利用したいのが統合ユーティリティツール「TTBase」である。

 TTBaseは単体では常駐するだけで一切の機能を持っていないが、プラグインを導入することで機能をどんどん追加できるツールだ。有志によって開発・配布されているプラグインは150種類を超えており、クリップボードの履歴を複数記録したり、IMEのオンオフをキャレットの色で表示するなど、さまざまな機能を持つプラグインが多数取りそろえられている。これらのプラグインを導入すれば、多くの常駐ツールをTTBase1本にまとめて利用可能になる。

 常駐ツールを減らすとパソコンの起動が速くなるほか、メモリの使用量も減少するので特にロースペックなパソコンの場合には効果が大きい。また、高速なパソコンを使っている場合でも本当に必要な機能だけを厳選して取捨選択できるため、多機能ユーティリティにありがちな、機能が多すぎて使いこなせないという問題が発生しない。プラグインでパソコンを好みの操作性にカスタマイズしまくって、ストレスフリーな作業環境を作り上げよう(図1)。

図1 プラグインで機能を超強化できる「TTBase」
図1 プラグインで機能を超強化できる「TTBase」

TTBaseのインストール

 TTBaseはSourceForge.JPのダウンロードページから入手できる。「リリースファイル一覧」には最新のバージョンだけが表示されているので「ttb<バージョン番号>.lzh」と書かれたリンクをクリックし、ファイルをハードディスクに保存しよう(図2)。

図2 「ttb<バージョン番号>.lzh」が目的のファイルだ
図2 「ttb<バージョン番号>.lzh」が目的のファイルだ

 ダウンロードしたファイルはLZH(LHA)形式で圧縮されている。インストーラは用意されていないため、7-ZipなどのLZHに対応したアーカイバで適当なフォルダに解凍するだけで使用できる。起動するには「TTBase.exe」をダブルクリックすればよい(図3)。

図3 適当なフォルダに解凍したら「TTBase.exe」を実行するだけで起動できる
図3 適当なフォルダに解凍したら「TTBase.exe」を実行するだけで起動できる

 TTBaseは常駐することを前提に作られているツールだが、パソコンの起動時に自動で実行する機能は有していない。本格的に使用するのであれば、Windows標準の「スタートアップ」機能を使って自動実行するように設定しておきたい。方法はまずスタートメニューの「すべてのプログラム」−「スタートアップ」を右クリックし、コンテキストメニューから「開く」を選択する。その後、表示されたフォルダにTTBaseのショートカットを作成しよう(図4、5)。

図4 スタートメニューの「スタートアップ」フォルダを右クリックして「開く」を選ぶ
図4 スタートメニューの「スタートアップ」フォルダを右クリックして「開く」を選ぶ
図5 表示されたフォルダにTTBaseのショートカットを作っておこう
図5 表示されたフォルダにTTBaseのショートカットを作っておこう

TTBaseプラグインのインストール

 TTBase本体の導入が終わったら次にプラグインをダウンロードする。プラグインの配布サイトはTTBase公式のWikiにあるプラグイン紹介ページからリンクされている(図6)。またWikiに登録されていないプラグインはTTBase専用のアップローダーからも入手できる(図7)。説明を読んで欲しい機能を持つプラグインを探し、リンク先からダウンロードしよう。

図6 TTBase公式のプラグイン紹介ページから配布ページを開くことが可能だ
図6 TTBase公式のプラグイン紹介ページから配布ページを開くことが可能だ
図7 TTbaseアップローダーでもプラグインは公開されている
図7 TTbaseアップローダーでもプラグインは公開されている

 プラグインは量が非常に多いため、TTBaseを始めて導入するユーザーにとってはどれを選べばいいのか分からないかもしれない。そこで筆者がおすすめするプラグインを10個ピックアップした。選択に迷ったら参考にしてほしい。

表1 おすすめのプラグイン
プラグイン名 説明
RedirectWheelG 非アクティブなウインドウでもマウスカーソルが上に乗っていればホイールでスクロールできる。マウスを使う人全員におすすめしたい。
ファイルダイアログ拡張7 「ファイルを開く」「名前を付けて保存」ダイアログを拡張し、よく使うフォルダや最近使ったフォルダを瞬時に開けるようになる。
SetCaretColor IME(日本語入力)のオンオフをキャレットの色で表示し、切り替え忘れを防止する。色ではなく点滅速度を変更するIMEStatusも人気だ。
TaskBarVol(※Vista以後版) (※XP以前版) タスクバー上でマウスホイールを回転することによりWindowsの音量を変更できる。Vista/7用とXP以前用でファイルが異なるので注意。
UpperDir(Win7対応) フォルダの空白部分をダブルクリックすることで1つ上の階層へ移動できる。Windows 7ではマウスの左右ボタン同時押しで移動する。
クリップボード拡張 クリップボードにコピーしたテキストを複数保存して手軽に貼り付けできる。テキスト以外の履歴もとりたい場合はclclを使うとよい。
RenameAssistant (Win7対応) エクスプローラでのファイル名変更時に、ファイル名のみを選択状態にする。Vista/7で標準搭載されているものより高機能だ。
TClock2ch タスクトレイの時計やタスクバーのデザインを大きく変える定番ツールのプラグイン版。通常版の本体にプラグインが同梱されている。
SnapWindowP ウインドウを移動するときにほかのウインドウやデスクトップの端にピタッとくっつけてくれる。複数のウインドウを隙間なく並べられる。
AltTabMouse キーボードのAlt+Tabと似たタスクの切り替えをマウス操作で行う。多くのウインドウを開いて作業を行う人には特に役立つ。

 ダウンロードしたプラグインは解凍してTTBaseのあるフォルダにコピーするだけで導入できる。サブフォルダ内のプラグインも読み込まれるので、フォルダ分けしておくと管理しやすいだろう。既にTTBaseが常駐している場合はプラグインの導入後にタスクトレイのアイコンを右クリックし「終了」を選択する。その後、TTBaseを再起動しよう(図8、9)。

図8 プラグインを解凍してTTBaseのあるフォルダにコピーする。プラグインファイル単体でもフォルダ内に入れていてもどちらでもよい
図8 プラグインを解凍してTTBaseのあるフォルダにコピーする。プラグインファイル単体でもフォルダ内に入れていてもどちらでもよい
図9 タスクトレイのアイコンからTTBaseを終了して再起動する
図9 タスクトレイのアイコンからTTBaseを終了して再起動する

 TTBaseを起動するとプラグインの読み込みが行われ利用可能になる。多くのプラグインは特別な設定なしでそのまま効果を発揮する。たとえば「ファイルダイアログ拡張7」の場合なら適当なソフトでメニューから「ファイルを開く」を選択すればよい(図10)。

図10 「ファイルダイアログ拡張7」の導入後にメモ帳で「開く」を選択した画面。ダイアログ上部が拡張されメニューバーが表示されている
図10 「ファイルダイアログ拡張7」の導入後にメモ帳で「開く」を選択した画面。ダイアログ上部が拡張されメニューバーが表示されている

 試用の結果不要だと感じたプラグインは、TTBaseの終了後にプラグインのファイルを削除するか、プラグインがあるフォルダの属性を変更して隠しフォルダにすると無効になる(図11)。

図11 プラグインがあるフォルダを隠しフォルダにすると、そのプラグインを無効にできる
図11 プラグインがあるフォルダを隠しフォルダにすると、そのプラグインを無効にできる

TTBaseプラグインの設定

 TTBaseで扱うプラグインの中には使用するためにホットキーの設定が必要なものがある。設定するにはタスクトレイに表示されているTTBaseのアイコンを右クリックし、コンテキストメニューから「TTBaseの設定」を選択する。設定画面が表示されるので「割り当て可能なコマンド」からプラグインと設定する機能を選び「ホットキー」からキーを選択する。同時押し用の「ALT」や「SHIFT」、「CTRL」、「Win」キーのチェックボックスにチェックを入れたら「割り当て」をクリックしよう。ここでは例として「クリップボード拡張」プラグインの「クリップボード拡張のメニューを表示」機能に「CTRL」+「SHIFT」+「V」を設定した。なお、「ホットキー」にある「NFER」は「無変換」、「XFER」は「変換」、「NumPad」はテンキーのことを意味している(図12、13)。

図12 設定画面を表示して、プラグインの機能にホットキーを割り当てる
図12 設定画面を表示して、プラグインの機能にホットキーを割り当てる
図13 指定したホットキーを押すとプラグインが機能する。ここではクリップボード拡張メニューが表示されている
図13 指定したホットキーを押すとプラグインが機能する。ここではクリップボード拡張メニューが表示されている

 ホットキーを削除したいときはTTBaseの設定画面で「ホットキー一覧」タブを開く。削除したい項目を選択し「削除」をクリックするとホットキーが無効になる(図14)。

図14 設定したホットキーは「ホットキー一覧」タブで削除可能だ
図14 設定したホットキーは「ホットキー一覧」タブで削除可能だ

 プラグイン自体の設定は一部を除き設定ファイルを直接編集することで行う。設定ファイルはプラグインを導入したフォルダ内にあるプラグインと同じ名前のINI形式ファイルだ。メモ帳などのテキストエディタで開き、説明内容に合わせてファイルを書き換えよう(図15)。

図15 「.ini」ファイルをエディタで編集することでプラグインの設定を行える
図15 「.ini」ファイルをエディタで編集することでプラグインの設定を行える

今回紹介したツール:TTBase