The Fedora Project、デスクトップ環境などを強化したFedora 13をリリース
米Red Hatが支援するThe Fedora Projectは5月25日(米国時間)、オープンソースのLinuxディストリビューション「Fedora 13」をリリースした。デスクトップ環境の強化などが主な特徴となる。
Fedora 13(開発コード「Goddard」)は、Fedora 12(2009年11月公開)以来約半年ぶりのリリースとなる。Linuxカーネル2.6.33をベースに、多数の改良点が含まれている。
Fedora 13での大きな変更点としては、まずプリンタドライバの自動インストール機能が挙げられる。USB接続のプリンタが対象で、プリンタを接続すると自動でドライバの検出とインストールが行われる。また、ディスプレイおよびプリンタ、スキャナ向けのカラーマネージメント機能(「GNOMEカラーマネージャ」)も搭載された。オープンソースのNVIDIA製GPU用グラフィックドライバ「Nouveau」も正式採用され、DisplayPortサポートも追加されている。
また、デスクトップ環境周りではTwitterなどマイクロブログに対応したクライアント「Pino」やバックアップツール「Deja Dup」の搭載、ファイルマネージャ「Nautilus」のインターフェイス変更、iPod Touch/iPhoneサポートなども挙げられている。多言語入力インターフェイスには「iBus 1.3」を採用、日本語変換エンジンはAnthyおよびskkをサポートする。
ネットワーク周りでは、Bluetoothによるダイアルアップ接続サポートの改善やコマンドラインで利用できるネットワークマネージャ機能、モバイル用のネットワークステータス表示アプレットなどが追加された。また、デフォルトのNFSプロトコルがバージョン4に変更されている。
システム管理者向けの機能としては、エンタープライズ向けの認証/ユーザー管理システム「Dogtag Certificate System」のサポート、modprobeコマンドでロードするモジュールの制限機構、ユーザーアカウント管理ダイアログの改善、新たなポリシー管理機構「Policy Kit One」の採用などが挙げられている。また、オープンソースのグループウェア「Zarafa」も新たに追加された。
仮想化関連機能も強化され、新たな高速ネットワーク機構「VHost Net」の採用やKVMの高速化/安定化を含む改善などが行われた。なお、Xenによる仮想化については従来と同じくdomU(ゲストOSとしての実行)のみのサポートで、dom0(ホストOSとしての実行)には対応していない。
次世代ファイルシステム「Btrfs」のスナップショット機能もサポートされた。ただし、Btrfsはまだ実験的機能としての搭載であり、一般的な利用には推奨されていない。
そのほか、Fedora 13に含まれる主要なサーバー/開発ツールのバージョンは下記のとおり。
Apache 2.2.14 cyrusimap 2.3.16 dovecot 1.2.11 fetchmail 6.3.14 sendmail 8.14.4 MySQL 5.1.44 PostgreSQL 8.4.2 Samba 3.5.0 Boost 1.50 Python 3.1.2/2.6.4 GCC 4.4.3 NetBeans 6.8 ghc 6.12.1 Darcs 2.4 Eclipse 3.5.1
対象アーキテクチャはx86およびx86_64で、それぞれCDおよびDVD用ISOイメージが提供されている。また、標準的な「Desktop」版のほか、カスタマイズが加えられた「Spin」と呼ばれるバージョンも容易されている。代表的なSpinとしてはデスクトップ環境としてKDEを搭載する「KDE Spin」、セキュリティ解析ツールを含む「Security Spin」、軽量なXFCEデスクトップ環境を備える「XFCE Spin」などがある。
最小要件はテキストモードの場合Pentium Pro/200MHz、メモリ256MB。グラフィカルモードの場合Pentium Pro/400MHz、メモリ384MB。The Fedora Project Webサイトや世界各地のミラーサイトから入手できる。
The Fedora Project
http://www.fedoraproject.org/
fedora Spns
http://spins.fedoraproject.org/
米Red Hat
http://www.redhat.com/