IPA、OSS日本語化プロジェクトを支援する「翻訳コミュニティー基盤ソフトウェア」公開
情報処理推進機構(IPA)は2009年10月28日、オープンソースソフトのヘルプメッセージなどの翻訳で、コミュニティの翻訳作業を支援するソフト「翻訳コミュニティー基盤ソフトウェア」を発表した。ワークフロー管理やコミュニティ管理の機能も備え、OSSの日本語化促進に役立ててもらうという。
少数のボランティアでも、翻訳コミュニティを組織して、効率的に翻訳作業ができるよう支援するツール。英語から日本語への翻訳は、欧米の言語間と比べて作業負荷が高く、海外の優れたオープンソースソフトが日本で普及しにくい要因にもなっているという。これを緩和し、OSSソフトの日本語化に取り組むボランティアを支援する目的でIPAが開発した。
「翻訳コミュニティー基盤ソフトウェア」は、参加者を4つの役割に定義。作業状況を管理して成果の登録(公開)に責任を持つ「コミッター」、「翻訳コーディネーター」、「レビュワー」、「翻訳者」のそれぞれの役割に従って、翻訳作業と翻訳ワークフロー管理の両面から、コミュニティの運営を支援する。
翻訳支援では、「翻訳メモリ」(原文と訳文の対照セット)や「用語対訳集」を備えて作業の効率化を図る。翻訳ワークフロー管理では、コミッターや翻訳コーディネーターが、翻訳単位の切り出し、翻訳結果の受付・更新など翻訳作業の管理を行うための機能を提供する。翻訳コミュニティ管理では、進捗管理のための「Trac」、翻訳済み情報公開のためのWiki、メーリングリスト、ユーザー管理などの運営を支援する。
OSS開発・評価支援環境「OSSオープン・ラボ」上から試用できる。試用には利用申請が必要。また、プロジェクト単位で実際に運用したい場合は別途問い合わせとなる。なお、IPAでは同基盤ソフトをオープンソースで公開することも検討している。
OSSオープン・ラボ
https://www.openlab.ipa.go.jp/