米OracleによるSun買収で懸念されるMySQLの将来──Oracle社長はコミットを強調

 米Oracleが4月20日に米Sun Microsystemsの買収を発表して以来、オープンソースコミュニティの間では、「MySQL」などSunが抱えるオープンソース資産の将来に関して憶測が流れている。これについて、OracleのCharles Phillips社長は多くを継続を示唆する旨を明らかにしたという。

 OracleによるSunの買収が決定した場合、オープンソースコミュニティに大きな影響を与えるのは、Sunがここ数年取り組んできたオープンソースプロジェクトだ。Sunは、OpenSolaris、Java、OpenOffice.orgなどさまざまなオープンソース資産を持つが、中でも、Sunが2008年に買収したオープンソースデータベースMySQLは、Oracleの主要製品「Oracle Database」と競合することから、その将来を懸念する声がある。

 英IT情報サイトのThe Registerによると、Sunが4月23日、カリフォルニア州メンロパークの同社キャンパスで開催したCEOのJonathan Schwartz氏とのタウンホールミーティングに、OracleのPhillips氏とチーフコーポレートアーキテクト、Edward Screven氏の2名が参加し、Sun社員の質問に答えたという。

 取引が成立していないこともあり具体的な話は避けたようだが、報道によると、Phillips氏はMySQLについて、ベンチャー企業などOracleが進出できない市場にリーチしている点を評価したという。Phillips氏は、Oracleが買収した企業の技術とサポートレベルの改善で実績があることに言及し、「Oracleには(MySQLの)リーチが必要。これらの市場に早期からSQLに触れてもらいたいと思っている」などとコメントしたという。そして、「いかなる製品であっても抹消することなはい。大金をはたいて(買収し)、製品を殺すのは意味をなさない」と述べたという。

 Javaについても、“(懸念されているように)クローズドにすることはない”と述べたという。だが、買収後の統合に伴う人員解雇については否定しなかったようだ。

 MySQLについては、Sunを退社したMySQL設立者でオリジナルコードの作者、Michael “Monty” Widenius氏が4月21日付のブログで、自身の意見を記している。Widenius氏は、Oracleがオープンソースコミュニティで知名度が低い点を示唆し、買収後のOracleの課題として、1)MySQL開発者の維持、2)MySQLの顧客やコミュニティに対し、今後も「フリーで全員が利用できる」点を納得させること、などを挙げている。特に、才能あるMySQL開発者のプールは最大の課題であり、自身が立ち上げたMonty Programを通じて協力する用意があることも明らかにしている。

 一方、Linux FoundationのJim Zemlin氏はブログにて、OracleによるSun買収はLinuxにとって良いという意見を記している。

米Oracle
http://www.oracle.com

米Sun Microsystems
http://www.sun.com