FreeNASでのストレージの設定方法
ネットワークから容易にアクセス可能なストレージを提供すること。それがFreeNASサーバーの目的だ。その目的を果たすには、ハードディスクがFreeNASでどのように扱われるかを理解し、ハードディスクをどのように構成すればそのネットワークにとって最も適切かつ信頼できるストレージになるかを知ることが重要である。
そうしたことを扱った書籍が最近刊行された。Learning FreeNASだ。ここでは、その一部を紹介する。
FreeNASサーバーにストレージを追加する手順は、次の4つのステップから成る。
- 物理ハードディスクの情報をFreeNASサーバーに「伝える」
- そのディスクをフォーマットする
- そのストレージ空間をサーバー内部で利用できるように、マウントする
- マウントしたストレージ空間をCIFSやNFSなどのサービスを介してネットワーク上で利用できるようにする
ステップ1では、追加する物理ハードディスクの情報をFreeNASサーバーに伝える。これはメニューのDisks: Managementで行う。このメニューのページには構成済みのディスクが一覧表示されており、追加の丸印をクリックするとディスクを追加するためのページDisks: Management: Disk: Addが開く。まず、Diskドロップダウンボックスで、FreeNASサーバーに追加するディスクを選択する。
ディスクがハードウェアRAIDコントローラーに接続されている場合は、各ディスクの標準デバイス名ではなく、RAIDコントローラーによる仮想ディスク名を選択する。この名前はRAIDコントローラードライバーごとに異なり、たとえばamrドライバー(MegaRAIDコントローラーと、Dell製とIntel製の一部カードに対応)の場合は/dev/amrd*となる。また、/dev/da*devicesとするRAIDカードもある。
次に、いくつかのパラメーターを設定する。ディスクがフォーマット済みで、すでにデータが格納されている場合は、Preformatted FSフィールドを正しく設定する必要がある。フォーマットはFreeBSDのネイティブフォーマットであるUFSのほか、FAT32、NTFS、ext2に対応している。
次に、Addボタンをクリックすると設定が適用され、Disks: Managementページの一覧に今設定したディスクが、ディスク名、サイズ、ファイルシステムとともに表示されるはずだ。
追加したディスクのフォーマット
ステップ2では、ディスクをフォーマットする。Disks: Formatページを開いて、フォーマットするディスクを選択し、ファイルシステムを指定する。デフォルトはUFSだ。FAT32やext2にすべき特段の理由がなければ、UFSでフォーマットするのが無難だ。FreeNASが基盤としているOSはFreeBSDであり、FreeBSDのネイティブファイルフォーマットはUFSだからだ。ほかの形式でフォーマットした場合は、予期せぬ結果、ファイルの破壊、データの喪失を招く恐れがある。
ディスクにはボリュームラベルを設定することができるが、FreeNASのWebインタフェースでは使わないので、設定したとしても取り立てて便利になるわけではない。最小空き領域の閾値はデフォルトの8%のままにしておく。これを小さくするとパフォーマンスや自動デフラグ機能に悪影響が出る恐れがある。最後に、フォーマットの際マスターブートレコード(MBR)を書き直さないことを指示するオプションがある。ハードウェアRAIDカードの中にはMBRに情報を書き込むものがあるからだ。通常、指定する必要はないが、ハードウェアRAIDカードを使っていて正しくフォーマットできない場合は、このオプションをオンにするとフォーマットできることがある。
次に、Format Diskをクリックする。確認画面が表示され、OKをクリックすると、フォーマットが始まる。スーパーブロック番号が長々と表示され、最後にDone!と表示されれば、無事完了だ。何らかの理由でフォーマットできなかったときは、エラーメッセージが表示される。たとえば、ボリュームラベルに空白が許されていない場合に、空白を含むラベルを指定してフォーマットすると、下のようなメッセージが表示される。
newfs: bad volume label. Valid characters are alphanumerics. Done!
ステップ3では、ディスクをFreeNASサーバー上でマウントする。Disks: Mount Pointページを開いて、追加の丸印をクリックする。いろいろなフィールドが並んでいるが、中でも重要なType、Disk、Partition、File System、Nameについて説明しておこう。
- Type マウントするのがディスクかISOイメージファイルかを指定する。物理ディスクをマウントする場合はディスクを選択する。ISOを選択して.isofileをマウントすると、その内容がネットワーク経由でアクセス可能になる
- Disk マウントするディスクを選択する。Disks: ManagementやDisks: Formatで指定したものと同じ
- Partition FreeNASでは、サーバーソフトウェアをハードディスクにインストールすると、パーティションが2つ作成され、最初のパーティションにはオペレーティングシステムが、2つめのパーティションにはデータが入る。ディスクをマウントする際、どちらのパーティションをマウントするのかを指定する必要がある
FreeNASは、特に指定しなければ、ディスクのパーティションを従来とは異なる方法で行う。つまり、パーティションデータをMBRには置かず、Extensible Firmware Interface(EFI、Intelが提案した標準で、まもなくPC BIOSに取って代わるだろう)で規定されているGUID Partition Table(GPT)に書き込む。 FreeNASでディスクをフォーマットした場合は、EFI GPTを選択する。すでにデータが格納されているディスクの場合は、データのあるバーティションを選択する。たとえば、ディスクにFreeNASがインストールしてあり、もう一つのパーティションをデータ用に使う場合は2を選択する。
- File System ディスクをFreeNASでフォーマットした場合は、UFSを選択する。ほかのファイルシステムを選択した場合、あるいはすでにデータが格納されているディスクの場合は、そのファイルシステムを選択する(FAT、NTFS、ext2のいずれか)。
- Name マウントしたディスクには、識別のために名前を付ける必要がある。名前には空白が使えると思われるが、空白を含まない単純な名前にしておくのが無難だ。ディスクをFreeNASサーバー上で/mntディレクトリーの下にマウントする際、ここで指定した名前が使われるからだ。たとえば名前をsotre2とした場合、ディスクは/mnt/store2にマウントされ、これがCIFSを使ってネットワークで共有する場合に使う名前になる。
- Description このマウントポイントに関する説明を記述する。
- Read only これをオンにすると、このファイルシステムは読み込み専用になる。管理者アカウント(スーパーユーザー、root)でも書き込めない。
次に、Addボタンをクリックすると、FreeNASサーバーにマウントされたドライブの一覧が表示される。ドライブの状態はConfiguringで確認できる。最後に、Apply changesをクリックする。改めて表示される一覧表には新たなマウントポイントが増え、OKとなっているはずだ。
Gary Sims 英国の大学でビジネス情報システムの学位を取得。ソフトウェアエンジニアとして10年間勤め、現在はフリーランスのLinuxコンサルタント、ライター。