Flock 1.1 社会を飛び回る人のためのツール

 ソーシャルWebブラウザーFlockについては昨年も取り上げられた翻訳記事)ことがある。そのときのバージョンは0.9、評価は大きな将来性があるというものだった。そのFlockのバージョンは今では1.0の大台を超え、「将来性」は現実のものとなった。いや、期待以上と言うべきだろう。Flockが1ページの中に盛り込むことのできるコンテンツはきわめて多く、超絶的な能力がなければ使いこなせないほどだ。しかし、ほどほどにしておけば、サイバー・フレンドの多い人にとってFirefoxに代わる使い勝手のよいツールになるだろう。

 Flockはお馴染みのMozillaブラウザーを基にしているため、機能はキーボード・コマンドに至るまでFirefoxとほぼ同じだ。インストールは速やかにして順調。Firefoxのツールバーに置いていたリンクやRSSフィードを含め、Firefoxのすべての設定が取り込まれた。ブックマーク(FlockではFavoritesと呼ぶ)をFavorites Managerで扱うのは気が利いている。私は一緒くたにしたくなかったので別ファイルにした。

 Flockのメイン・ブラウザーには多くの機能が詰め込まれている。我がFirefoxにもさまざまなプラグインやエクステンションがロードしてあり画面にひしめいているが、それでもFlockにはかなわない。基本的なインストールであっても、画面上にあるボタンとテキスト・フィールドは23にも上る。ツールバーに機能を追加していけば、その3倍にもなるだろう。

 サイドバーにはRSSフィード、電子メール、お気に入りWebサイト、ブログ・サービス、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、Webクリップボードがあり、ホーム・ページの上部に横に伸びるメディア・マネージャー・バーにはFlickr、YouTube、Gmail Notifierなどのアカウントから送られてくるメディア・ストリームが表示される。ウェブメール機能もある。私には無用の存在だが、利用する人もいるだろう。

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Flock

 バージョン1.1で出色なのは、MyWorldページの機能強化だ。たとえば、Friend Activity Feed。ソーシャル・ネットワーキング・サービスのすべてにログインしておけば、ある友人のメッセージを別の友人にドラッグ&ドロップすることができる。SallyがTwitterで素敵なレストランを紹介していれば、そのメッセージをドラッグしてサイドバーにあるJohnのTwitterアイコンに落とすと、Sallyのメッセージを見るためのリンクをJohnに送ることができる。あるいは、Flickrフィードに非常に面白い写真があったら、それをFacebookの友人の上に落とすだけで、そのイメージを見る通知を送ることができるといった具合だ。

 MyWorldは、ソーシャル・ネットワーキング漬けの人にとって、友人と簡単につながることのできる素晴らしいツールだ。これまで友人の活動を見るだけだった人も情報を活発に交換するようになるだろう。ソーシャル・ネットワークに加わると、生活の中に相当量のおしゃべりが恒常的に生じ、Flock上に目に見える形で積み上がり、山となる。一時的に止めたり絞ったりできればいいのだが。

 Flock 1.1では、Flickrのほか、Picasa Web Albumsもサポートされている。

エクステンションとプラグイン

 FirefoxのエクステンションはFlockには移行されないが、これはFlockのコミュニティーで開発されたものを使ってもらいたいとの願いからだ(当然のことだ)。しかし、Firefoxのエクステンションもほとんどは問題なく動作する。10種ほど試してみたが、サイドバーを使うプラグイン1種を除いて、すべて問題なくロードでき機能した。

 Flock独自のエクステンション・ライブラリーには数十のプラグインがあるが、そのほとんどは標準Firefoxプラグインと同種のものだ。これについても10種ほど試してみたが、すべて正常に動作した。ただし、実に不愉快なことが1つあった。それは Me.diumのプライバシー・ポリシーだ。この会社は知りたがり屋で、データを集め保存し集約したがる。自ら進んでこのプラグインをインストールしたのだから、機能が問題なのではない。その方法が不愉快なのだ。たとえば、このプラグインをインストールすると、Firefoxにもインストールされる。何の断りもない。しかも、プラグインは有効に設定される。プライバシーを大切にしたければ、このエクステンションは使わないことだ。

 端的にまとめれば、オンライン・ソーシャル・ライフを掌握し生活に取り込むツールとしてFlockはお勧めだ。

Linux.com 原文