Microsoft、仮想化ハイパーバイザ「Hyper-V」のベータ版を2カ月前倒しでリリース――正式版リリースは2008年下半期の予定

 米国Microsoftは12月13日、Windows Server 2008のアドオンとなる仮想化ハイパーバイザ技術「Hyper-V」(開発コード名:Viridian)のベータ版を、予定よりも約2カ月前倒しでリリースしたことを明らかにした。

 Hyper-Vのベータ版は、同社のWebサイトでダウンロード配布されており、同じくダウンロード配布中の64ビット対応Windows Server 2008のベータ版とともに利用できる。Windows Serverのメジャー・アップグレード版であるWindows Server 2008は、2008年2月27日に出荷開始される予定で、Hyper-Vのベータ版も同日にリリースされる予定だった。

 1台の物理サーバを複数の仮想マシンに分割し、その上で複数のOSを稼働させる仮想化は、IT環境に大きな革新をもたらす技術と広く考えられている。多くの企業がデータセンターやIT環境のコスト削減とハードウェア統合を目指していることから、仮想化はますます重要性を増している。Microsoftは当初、Hyper-VをWindows Server 2008の一部としてリリースする計画だったが、現在は、同OSの出荷から180日後にHyper-Vをリリースする予定だ。同社は今年、Hyper-Vに搭載される予定だった機能の一部を削除すると決定し、それに伴って同技術のリリースを延期した。

 Hyper-Vは、IntelやAMDの仮想化に最適化されたマイクロプロセッサの機能を利用するもので、Microsoftはこの技術により、仮想化市場のリーダー企業であるVMwareに対抗しようとしている。VMwareはすでにハイパーバイザ技術を市場で提供している。ハイパーバイザは、1台のサーバ・ハードウェア上で異なるOS(WindowsとLinuxなど)の複数のバージョンを動作させることができるクロスプラットフォーム機能を持つ。

 MicrosoftのWindows Server担当ゼネラル・マネジャー、ビル・ヒルフ(Bill Hilf)氏は、「顧客は仮想化技術の導入と管理が容易になるように、Windows Server環境上で直接動作する、ビルトインされた仮想化技術を求めている。Hyper-Vは、Windows Server 2008の“ロール”の1つとしてセットアップできるように設計されており、管理者が自由に起動したり停止したりすることができるようになっている」と説明する。ロールとはWindows Server 2008の新機能で、IT環境において利用したい1つまたは複数のロールだけが動作するようにサーバをセットアップできるという。

 Microsoftの仮想化担当ゼネラル・マネジャー、マイク・ニール(Mike Neil)氏は、「Hyper-Vは、仮想化市場でVMwareと真っ向から戦うための対抗技術として開発したもの」と力説する。しかし、Hyper-Vがリリースされるのは来年下半期であり、Microsoftの追撃の道のりは遠いと言える。また、Linuxディストリビューター最大手のRed Hatが、クロスプラットフォーム仮想化技術をRed Hat Enterprise Linuxにすでに統合していることから、MicrosoftではビルトインされたOS仮想化技術の提供が急務となっている。

 Windows Server 2008は複数のエディションが用意され、Hyper-Vを搭載するものとしないものがあるという。また、Microsoftは2008年下半期に、Hyper-Vを単体の仮想化サーバ製品「Microsoft Hyper-V Server」としても提供する予定としている。

(Elizabeth Montalbano/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国Microsoft
http://www.microsoft.com/

提供:Computerworld.jp