KontactをGoogleアプリと連携させる

 最近、GmailがIMAPに対応したことで、この強力なメールサービスとサードパーティ製クライアントとの連携性が高まった。そのうえGoogleは、おせっかいなご近所さんよろしく、GmailのIMAP機能を各種サードパーティ製クライアントで利用する手順まで用意してくれている。しかし、名の通ったクライアントが1つ忘れられている。KDEのPIMスイートであるKontactに付随するメールクライアント、KMailだ。また、Google CalenderやGoogle Readerなど、Gmail以外のサービスもKontactとうまく連携させることができるのだが、Googleはこの点にも触れていない。ここでは、そうした連携がどうすれば可能になるのかを見てみよう。

 まずは、KMailからGmailサービスを利用する方法だ。Kmailを立ち上げ、「Settings(設定)」メニューから「Configure KMail(KMailを設定)」を選択し、「Accounts(アカウント)」タブの「Add(追加)」をクリックして、先に受信側のアカウント設定を行う。アカウントの種類には「IMAP」を選択し、アカウント名には表示用の名前(ここでは「Gmail」とする)を、ログイン情報の各項目にはメールアドレス(たとえば「johnsmith@gmail.com」)とパスワードを入力する。また、ホストは「imap.gmail.com」、ポート番号は「993」と指定する。続いて「Security(セキュリティ)」タブに移り、「Use SSL for secure mail download(SSLを使用してメールを取得)」にチェックを入れる。「OK」をクリックし、今度は「Sending(送信)」タブに切り替えて「Add(追加)」をクリックし、送信側のアカウント設定を行う。アカウントの種類は「SMTP」とし、表示用の名前を入力したら、ホストには「smtp.gmail.com」、ポート番号には「465」を指定する。さらに「Server requires authentication(サーバで認証を行う)」にチェックを入れ、ログイン情報の箇所にメールアドレス(johnsmith@gmail.com)とパスワードを入力する。最後に「Security(セキュリティ)」タブに移り、暗号化を「SSL」、認証方式を「plain(平文)」にすれば、設定は完了だ。

 これで、KMailを使ってGmailアカウントにログインでき、すべての項目が「[Gmail]」の下に表示されるはずだ。また、KMailとGmailでごみ箱(trash)を同期させたいこともある。その場合は、再び「Settings(設定)」→「Configure KMail(KMailを設定)」を選択し、「Accounts(アカウント)」タブをクリックしてGmailアカウントに関する設定を変更する。といっても「Trash Folder(ごみ箱フォルダ)」の項目を「/[Gmail]/Trash」とするだけでよい。

カレンダーの連携:Google CalendarとKOrganizer

 メールソフトとサーバの連携が済んだら、次はカレンダーに取りかかろう。残念ながら、Google Calendar向けの双方向の同期機能に関しては、Googleからの正式な発表はない。だが、Javaのランタイム環境とGCALDaemonを使えば、KOrganizerをGoogle Calendarと連携させることが可能だ。まずは、GCALDaemonのサイトからUNIX/Linux/AIX/Mac OS X共通のZIPアーカイブをダウンロードする。rootでログインしてこのアーカイブを「/usr/local/sbin」(なければ新しく作成する)に展開したら、すべてのユーザからアクセスできるように「chmod 777 /usr/local/sbin/GCALDaemon」を実行しておく。最後に「/usr/local/sbin/GCALDaemon/bin/standalone-start.sh」を実行する(このスクリプトの実行を起動処理に組み込む場合は、ショートカットを「~/.kde/Autostart/」に追加すればよい)。

 今度はGoogle Calendarで「Settings(設定)」→「Calendars(カレンダー)」からを選択し、画面の一番下にある「ICAL」ボタンをクリックして、自分のiCal URLを取得(コピー)する。KOrganizerでカレンダーを新規作成するには、「Calendar(カレンダー)」タブの「Add(追加)」ボタンをクリックし、「Calendar in Remote File(リモートファイルのカレンダー)」を選択する。名前(たとえば「Andrew’s Calendar」)を入力したうえで、「Download to(ダウンロード先)」および「Upload to(アップロード先)」の両フィールドに先ほどコピーしたiCal URLを貼り付ける。ただし、URLの「http://www.google.com」の部分は「http://localhost:9090」に置き換える必要がある。以上の設定を済ませて「OK」をクリックすれば、Google側からカレンダーのデータが読み込まれるはずだ。ユーザ名とパスワードを訊かれたら、Gmailのアドレス(この場合は「johnsmith@gmail.com」)とパスワードを入力すればよい。

 KOrganizerとGoogle Calendarとの連携の出来は上々だが、1つだけ厄介な点がある。それは、どちらか一方で予定を削除しても他方には削除されないまま残ってしまうことだ。

フィードリーダの連携:AkregatorとGoogle Reader

 ここまでに紹介した2つのアプリとは違い、Google Readerには既読/未読フィードをサードパーティ製クライアントと同期させる方法がない。ただし、フィードリーダをGoogle ReaderからKontactのRSSリーダ、Akregatorに切り替えるのは非常に簡単である。「https://www.google.com/reader/subscriptions/export」からGoogleのフィードリストをダウンロードしたら、KontactからAkregatorを起動し、「File(ファイル)」→「Import Feeds(フィードをインポート)」を順にクリックして、ダウンロードしたファイルを選択する。そこで登録フィードの名前(たとえば「Google Reader」)を入力したら、インポートが終わるを待つ。しばらくすると、選んだフィードがすべて表示されるはずだ。

まとめ

 このようにちょっと手間をかければ、Gmail、Google Calendar、Google Readerの情報のすべてをKontactで簡単に扱えるようになる。今後はさらに多くの機能に対応できる可能性がある。GCALDaemonにはLDAPを使ったアドレス帳の同期を可能にする機能があるのだが、今のところGmail 2.0との同期は行えない。だが、そのうちGmailにもLDAPが組み込まれそうだ

 Google CalendarとKOrganizerとの同期も、しばらくすれば(おそらくはGoogle側の取り組みによって)もっと簡単になる可能性がある。Google Readerのほうも、いつかはAkregatorのようなサードパーティ・プログラムとの同期が可能になるだろう。今からKDE/Google使いになるのも悪くなさそうだ。

Linux.com 原文