GobbleRSS:オフライン機能も充実したフィード・アグリゲーター

 私は多くのブログやPlanetに毎日しかも複数のコンピューターから目を通している。だから、オンライン・フィード・アグリゲーターの利便性を高く評価している。接続していなくても新しい記事を集めてくれるし、別のマシンから見る場合も同期をとる必要がない。こうしたニーズには、しばらく前からGoogle Readerが応えてくれていたが、それでも自分のドメインからサービスを提供できるようなオープンソース版を探していた。そして、見つけたのが GobbleRSS だ。PHPベースのフィード・アグリゲーターで、自分のドメイン上に簡単に設定し運用することができる。

 GobbleRSSは、プロジェクトのWebサイトからソースコードの形でダウンロードできる。インストールするには、WebサーバーにPHP 4以降(CURL対応)とMySQLが必要だ。また、一部のオプション機能を使うには、cronにアクセスでき.htaccessファイルを編集できなければならない。この条件は自分のサーバー上でGobbleRSSを動かす場合は問題ないが、共有ホスティング・プロバイダーを利用している場合はそうはいかない。契約上可能かどうかを確認しておく必要がある。

 インストールは簡単だ。PHPファイルをGobbleRSSを動かすディレクトリーに展開し、構成ファイルを編集、GobbleRSSデータベースを作るだけ。データベースに表を作る必要さえない。表はGobbleRSSが必要に応じて自動的に作るのだ。

 .htaccessファイルの編集が可能な場合は、GobbleRSSへのアクセスを制限するためのディレクティブを追加する。現在のGobbleRSSはシングルユーザー・アプリケーションだからだ。また、他の利用者にアクセスさせたくはないだろう。そこで、パスワードで認証するか、あるいは、IPでアクセスを制限する。

 インストールが終わったらWebブラウザーでサイトを開き、RSSフィードを追加する。数が多く一々手作業で追加していられない場合、あるいは、ほかのリーダーに設定してあるフィードをまとめて持ってきたい場合は、OPMLファイルを介してインポートすることもできる。詳細は、GobbleRSSのサイトにあるインストール方法をご覧いただきたい。

機能

 GobbleRSSの画面はGoogle Readerとよく似ており、左ペインには購読先とそれぞれの未読記事数が並び、右ペインには現在選択しているフィードの記事が表示される。

GobbleRSS_thumb.jpg
GobbleRSS

 移動用のキーボード・ショートカットもGoogle Readerと同じ。GobbleRSSの場合、ページの最下段にキーボード・ショートカットが表示されるので便利だ。記事をいくつか選んでリンク共有サイトma.gnoliaにエクスポートすることもできる。これだけでもGoogle Readerから乗り換えるだけの価値があるというものだ。しかし、GobbleRSSの持つ機能はこれだけではない。

 そもそも、作者のGuillaume Boudreau氏がGobbleRSSを作ったのは、Google Readerに重要な機能がなかったからだ。それは、未読記事をオフラインで読むためにエクスポートする機能。Boudreau氏がこの機能を必要としたのは毎日の通勤で使うためだ。家を出る前に記事をPDAに簡単に取り込むことができれば、オフラインになる通勤中も記事を読むことができる。通常、New Articlesページには複数の見出しが並ぶが、記事本文は1件ずつロードされる。だが、オフライン状態にあるPDAでは、それは不可能だ。そこで、GobbleRSSを作ったというわけだ。この機能を使うには、まず、PDAにエクスポートする未読記事の最大数を構成ファイルに設定しておく必要がある。これで、専用のURLからすべての記事をまとめて取り込めるようになる。

 もう一つ、Google Readerには欠けている重要な機能がある。複数のフィードがあるとき、記事の重複を識別し削除する機能だ。Lifereaなどのように、デスクトップ用フィード・リーダーの中には自動的に重複を削除してくれるものがあり、これを使ってみれば複数のPlanetが収集したフィードを読むときに便利なことがわかる。たとえば、Planet GNOMEPlanet KDEが収集するブロガーは、Planet FedoraPlanet SUSEでも収集していることが多い。GobbleRSSでは、フィードの形式ごとに一意的に設定されることになっているIDエレメント――RSSフィードの場合はguid、ATOMの場合はid――を使って記事を索引化する。したがって、各Planetサイトが正しく構成されている限り、同じguidの記事は1つしか収集されない。

制限

 GobbleRSSはBoudreau氏が自分のために開発したものであり、機能は作者の関心によって決まるため、自分の欲しい機能がないこともある。たとえば、選択した記事をma.gnoliaにエクスポートできるとしても、自分も同じサービスを使っているならいざ知らず、del.icio.usやScuttleを愛用している人には役に立たない。自分のサイトを作るほかないのだ。

 もっと大きな問題もある。それはGobbleRSSはシングルユーザー仕様だということ。専用のURLとデータベースを持たせることにすれば、複数インストールすることはできるが、これは真のマルチユーザーではない。その上、現在採用されているセキュリティー・モデルは.htaccessベースだ。GobbleRSSを共有Webホスティング上で動かしたいユーザーにとっては、あまりにも心もとない。

 同様に、一部の機能(フィードをPDAなどにダウンロードする機能など)はインストールしたGobbleRSSを直接変更する必要がある。ローカル・インストールならそれでもいいだろうが、Webブラウザーを介して利用するソフトウェアとしては便利とは言い難い。

 また、GobbleRSSのレイアウトは確かに見てわかるようには作られているものの、やはり実用本位でやや味気ない。Boudreau氏によると、生成するHTMLはクラスを使ってマークアップしておりCSSでスタイルを設定できるようになっているという。しかし、Boudreau氏にはまだ、スタイルを作る時間的余裕はないようだ。

 利用者の要望があり時間があれば、そうした変更がBoudreau氏の非公式ロードマップに載る可能性はある。しかし、GobbleRSSは「作者が必要だと思ったときに新機能が組み込まれるというような種類のプロジェクトだ」とBoudreau氏は語る。

 Boudreau氏が暖めているアイディアの中で面白そうなのが、タグ指向の「Attention Profiling Mark-up Language」APMLのサポート。「強化する機能についてのアドバイスはいつでも歓迎だ」とBoudreauは話している。

まとめ

 オープンソース・プログラマーたちは、グラフィカルで優れたRSSクライアントをいろいろ作っている。もしLinuxを含むどのオペレーティング・システムでも使えるフィード・リーダーが必要でなかったなら、そのいずれかで十分に満足していただろう。しかし、私は、注目しているフィードを、“いつでもどこででも”読みたいのだ。だから、Webベースのソリューションを探している。Google Readerのようなプロプライエタリーのソリューションでもいいのだが、いかんせん機能が不足している。

 GobbleRSSには重複記事削除機能があり、それだけでもノートパソコンで使う理由として十分だ。もう一つのPDAエクスポートは誰もが熱望している機能だろう。そして、GobbleRSSのようなオープンソース・プロジェクトでは、新機能は電子メールで届く距離にある。この記事を書くためにGobbleRSSを共有Webホストにインストールしたのだが、その際、何度か作業に手間取った。しかし、そのたびにBoudreau氏は私の電子メールによる質問に答え対策を指示してくれた。数分で返事が来ることさえあった。Google Readerのチームにも同レベルのサポートを期待したいものだ。

Linux.com 原文