FirefoxをIE、Safari、Opera風にする方法

 Firefox支持者が抱く最大の不満の1つは“動作や外観があのブラウザとは違う”というものである。一方、Internet Explorerユーザは、Firefoxの外観にはなじめないと文句を言う。またOpera、Safari、Netscapeの各ユーザは、お気に入りの機能の多くがFirefoxには欠如していると訴える。さらにソーシャルネットワーキングの権威たちは、Floakの誇る強力なソーシャルネットワーキング機能がFirefoxにない点をあげつらう。しかし、こうしたユーザは皆、Firefoxが持つ最も影響力の大きな特徴の1つを見過ごしている。それは、ほかのブラウザの機能をきわめて簡単にエミュレートできるサードパーティのアドオンがサポートされている点だ。

FirefoxをInternet Explorer 6風にする

 Internet Explorer(IE)6は非常によく使われているブラウザの1つだ(コンピュータに詳しくない人々の間では最も普及している)。IE系のブラウザからFirefoxに乗り換えようという人々にとって、いちばんなじみ深いのはIE 6だろう。

 経験の浅いWindowsユーザにFirefoxを快適に使ってもらうには、まずFirefoxの外観をIEそっくりにする必要がある。そのためには Looks Familiar テーマをインストールする。このテーマのインストールにより、ツールバー、アイコン、アドレスバー、検索バー、タブバー、スロバーの見た目がIE 6とすっかり同じもの(検索バーだけはそれらしきもの)に変わる。もっと細かい部分にまで(半分お遊びで)こだわるなら、 Firesomething エクステンションをインストールして、ブラウザのタイトルを“Microsoft Internet Explorer”(あるいは“Mozilla Internet Explorer”とか“Microsoft Firefox”)に変えるのもよいだろう。

 外観の変更がすべて済んだら、今度はIE 6の機能をFirefoxに与えられるようにしてみよう。そのためには何よりも、FirefoxにIE 6としての偽装を施す必要がある。 User Agent Switcher をインストールし、「Tools(ツール)」→「Options(オプション)」→「Add-Ons(アドオン)」を選択してUser Agent Switcherの「Preference(設定)」ボタンをクリックする。「User Agents」タブで「Add…」をクリックしたうえで、「User Agent」フィールドに「Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1)」、「App Name」に「Microsoft Internet Explorer」、「Version」に「4.0 (compatible; MSIE 6.0; Windows NT 5.1)」、「Platform」に「Win32」とそれぞれ入力すればよい。

FirefoxをInternet Explorer 7風にする

 Internet Explorer 7ではIE 6の脆弱性がすべて修正されている、とのたまうギーク気取りの人物がいるようなら(彼はIE 7の最初の脆弱性がリリース後わずか6日で見つかったことを知らないに違いない)、Firefoxといくつかのアドオンをインストールすることで彼をその世界から救い出してあげるとよい。

 IE 7でアップグレードされた主な対象の1つがスキンである。個人的には、VistaでIE 7を実行する場合を別にすればスキンとしての出来はいまひとつに思えるのだが、それでも気に入っているというなら myFireFox スキンを使ってIE 7風の基本的な外観にすることができる。

 続いて、IE 7の機能をFirefoxに追加してみよう。まずは Firefox Showcase エクステンションをインストールする。これは1つのページで開いているすべてのタブをサムネイル表示するものだ。この機能はmyFirefoxスキンのショーケースボタンとも連動している。なお、前述のUser Agent Switcherを使ってユーザエージェントをInternet Explorer 7のものに変えておく必要もある。ただ、この設定はShowcaseアドオンに組み込まれているので、ドロップダウンメニューから選択するだけで済む。

 ほかにIE 7になって追加されたツールといえば洗練されたRSSリーダくらいだが、優秀さではFirefoxのRSSリーダ Sage のほうが上だろう。Sageの強みは、RSSおよびAtomのサポート、スタイルシート、ブックマークとの統合、対応言語の多さといった点だ。

FirefoxをOpera風にする

 まずはFirefoxをOperaに似た外観にしてみよう。 Kagematuri はそのためのすばらしいテーマであり、ブログサイトIm Sudenで公開されている。

 Opera 9における最新機能の1つがスピードダイアルだ。ユーザは登録しておいた最大9件のページをすばやく開くことができる。こんな機能が欲しかったというFirefoxユーザは、ただ羨んでいないで Speed Dial エクステンションをダウンロードすればよい。このエクステンションのインストール後は、追加されるポータルから、またはショートカットキーを使ってお気に入りのサイトにアクセスできるようになる。

 Firefoxで私が困っているのはズーム機能が貧弱なことだ。Operaとは違って(またIE 7でさえ可能なのに)、Firefoxは画像やその他のメディアのズームに対応しておらず、テキストのズームしかできない。そこで登場するのが PageZoom だ。これによって画像やFlash動画などのズームが可能になる。

 おそらくOperaの最大の売りはサイドバーだろう。Firefoxユーザも All-in-One Sidebar によって同様の機能を手に入れることができる。このエクステンションを使えば、サイドバーにページ、ソースコード、ダウンロードファイル、アドオン、ページ情報、エラーコンソールを表示させたり、ツールバーボタンを好きなだけ追加したりできる。

 また、Operaのセキュリティツールで特に便利なものの1つとしてワンドがある。これはクリックするだけでユーザ名、パスワードをはじめとする定型データを自動で入力してくれる機能だ。同様のことをFirefoxで行いたければ、 Secure Login を使ってみるとよい。

 Operaで本当に便利なのはマウスジェスチャ機能で、これはマウスを使ってショートカットキーのようなことができるものだ。幸いFirefoxユーザのためにも Mouse Gestures (せめて名前にはもうひと工夫ほしいところだ)という同等のツールが用意されている。マウスを動かすだけで、ページ閲覧履歴に基づいた戻る/進む、タブを閉じる、新しいタブを開く、などなど多くの操作が可能になる。

 Opera 9以降では、テキスト音声合成を使ったWebページの読み上げが可能になっている。この機能が欲しいなら Fire Vox を試すとよい。このエクステンションを利用するにはFirefox以外に多数のプログラムを実行する必要があるが(詳細についてはこちらのガイドを参照)、かなり使えそうだ。

 もう1つ、Operaにはウィジェットエンジンという小粋な機能もある。率直にいって私の役には立たない。ウィジェットはブラウザ上ではなくデスクトップにあるべきだと考えているからだ。だが、ウィジェット好きの人には Firefoxit をお勧めする。描画パッド、付箋紙、Gmail着信通知などちょっとしたアプリケーションをFirefoxで実行できるようになる。

FirefoxをSafari風にする

 AppleのSafariは非常にすばらしいブラウザだが、クローズドソースであり、WindowsとMac OS Xでしか動作せず、アドオンをサポートしていない。SafariからFirefoxに乗り換えるなら、これから紹介するアドオンを使ってFirefoxをSafariに似せることができる。

 Firefoxの外観をSafari風にするのは簡単だ。Fear Foxによって作成された iSafari テーマをインストールすればよい。Safariのつや消しメタリック仕上げのインターフェイスをほとんどそのまま複製したものだ。また、Safari形式のプログレスバーを追加するなら Fission もインストールする必要がある。

 SafariにあってFirefoxにない機能は数えるほどしかない。そのうち特に優れているものの1つがスナップバック機能で、サイト内の最初に表示していたページに“一瞬で”戻れるというものだ。以前Safariでこの機能を利用していた場合は、Firefoxの SnapBack How’d I Get Here を使うとよいだろう。

 また、Safariではテキストエリアのリサイズによって編集を容易にすることが可能だが、Firefoxの Resizable Form Fields を使えばそれ以上のことができる。具体的には、テキストエリアのリサイズのほか、ボックス、テキストフィールド、さらにiframeの選択も可能になる。

FirefoxをFlock風にする

 Flockブラウザの機能を自慢する記事を見るたびに「いったい誰が使うのだろう」と思う。確かに優れたソーシャルネットワーキング機能だが、どれもFirefoxで利用可能なものだ。

 まずは、 Flock Theme For Firefox を入手する。どういうわけか、そのサイトにはFirefox 1.5しかサポートしていないと書かれているが、実際にはFirefox 1.0~3.0でもこのテーマは動作する。

 Facebookの利用者が非常に多いことから、Flockには最初からFacebookが見事に組み込まれている(基本的にはモバイル版が実行される)。しかし、Firefoxでも正式な Facebook Toolbar を使えば同等のことができる。このアドオンには、各種通知機能を備えたツールバー、友人を表示するサイドバー、共有ボタンが含まれている。

 FlockにはFlickrとの優れた連携機能もあり、友人(あるいは他の誰か)のフォトストリームを見ることができる。嬉しいことに、Firefoxでは Flickrfox アドオンによってそれ以上のことができる。

 del.icio.usのヘビーユーザで、そのブックマークと同期が取れるという点でFlockが気に入っていた人は、 Foxylicious を試すとよいだろう。これを使うと、リモートのdel.icio.usブックマークをすべてのFirefoxブックマークと同期させることができる。

 Flockに備わっているもう1つのすばらしい機能が、TypePad、Movable Type、WordPress、Bloggerに直接ブログを投稿できる機能だ。だが、そうしたことが可能なブラウザはFlockだけではない。Firefoxの場合、 Deepest Sender または ScribeFire (前身はPerformancing)をインストールするだけで同様のことが可能になる。

FirefoxをNetscape風にする

 信じられないかもしれないが、Firefox向けに作られたメインのNetscapeテーマは、Netscape開発チームが手掛けたものだ。 Netstripe と呼ばれるこのテーマは、基本的にはNetscape 9の厳密なレプリカである。だが残念なことに、NetscapeチームはこれをLinux対応にはしなかった(検索フィールドのわずかなバグがその理由だそうだ。その検索バーを使わない私としてはそれでも構わないのだが)。そこで、 自分でハックしてLinux用に仕上げて いる。

 ほかにも、Firefoxに追加できるNetscape固有の機能がいくつか存在する。NetscapeにあってFirefoxにない機能(つまり、最初からFirefoxに組み込まれていないもの)はそれほど多くない。 URL Fixer は、ドメイン入力時のスペル誤りを訂正してくれるすばらしいアドオンだ。また、LinkPadに似た ScrapBook と呼ばれるプログラムがGomitaというユーザの手で作成されている。さらに、 Propeller.com Friends’ Activity Sidebar および Sitemail Notifier を備えたPropellerサービスもエミュレートできる。

まとめ

 これで、Firefoxのルックアンドフィールはほぼどんなブラウザのものにも変更できることがおわかりいただけただろう。ここで紹介したFirefox以外のブラウザの愛好家が“Firefoxよりも勝っている”点を自慢げに説明してきても、論破できるネタがつかめたわけだ。また、Firefoxブラウザの操作を覚えるのは面倒だから、と言い張る義理の母親には、その必要がないことを教えてあげられる。

Linux.com 原文