次期ブラウザ「IE 8」がWeb標準テストをパス――正確なサイト表示を重視

 米国Microsoftは12月19日、Internet Explorer 8(IE 8)のベータ版を2008年前半にリリースすることを明らかにした。IE 8は、Web標準への準拠を証明するテストにパスしており、同ブラウザでWebサイトを正確に表示できることを確認しているという。

 IE 8がパスしたのは、「Acid2 Browser Test」と呼ばれるテスト。このテストはWeb Standards Projectが統括しており、ブラウザがWebサイトを正確に表示できることを証明するものだ。ブラウザが特定の方法でWebサイトを正しく表示できれば、そのブラウザは一定のWeb標準に準拠していることになる。

 Microsoftは同社のWebサイト「 Channel 9 」で、IE 8がテストをパスした映像を公開している。

 Microsoftは、CSS(Cascading Style Sheets)やRSS(Really Simple Syndication)などのWeb標準が登場する前にIEの開発に着手した。そのため、同ブラウザの古いバージョンでは一部Web標準をサポートしていない。

 IEは長い間、Webブラウザ界における事実上のデファクト・スタンダードであったため、アプリケーション開発者の間では、Web標準への準拠よりもIEとの互換性が重視されてきた。Microsoft自身も、IEがブラウザ市場で長年支配的な地位にあったことから、Web標準の要件を満たすアップデートをIEに付加してこなかった。

 しかし、3年前にオープンソース・ブラウザのMozilla Firefoxが登場し、市場で人気を博したことをきっかけにして、Web標準への準拠が再びMicrosoftの優先課題になった。事実、Microsoftが2006年10月にリリースしたIE 7は、Web標準に対するサポートの強化が明確に意識されていた。

 ところがIE 7は、(IEの)旧バージョンに合わせて構築されたWebサイトを正しく表示できなかった。MicrosoftのIEチーム担当ゼネラル・マネジャーであるディーン・ハチャモビッチ(Dean Hachamovitch)氏は「 IE Blog 」の中で、その理由としてCSS機能の問題を挙げている。

 Hachamovitch氏はまた、IE 8の開発にあたり、Web標準や(旧バージョンとの)互換性を重視し、すぐれた実績のある適切なWeb標準セットを取り入れ、既存Webサイトを正確に表示することを目標にしていると同ブログに記した。

 「Webサイト開発者の立場から言えば、異なるブラウザのためにWebサイトのコードを複数記述するのはなるべく避けたい。Web標準への準拠はそのための(きわめて重要な)手段であり、われわれは(IEの開発で)互換性を大きく向上させるWeb標準への準拠に注力している。1人のブラウザ・ユーザーとしても、Webサイトが正確に表示され、旧バージョンとの互換性も確立されているのが好ましい。IEを新バージョンにアップグレードするときは、これまで閲覧できていたすべてのWebサイトを引き続き閲覧できるようにするつもりだ」(Hachamovitch氏)

(Elizabeth Montalbano/IDG News Service ニューヨーク支局)

米国Microsoft
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提供:Computerworld.jp

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