Open XMLのISO承認獲得に立ちはだかるハードル――3,522の条件クリアが必要
今年9月2日に行われた国際標準化機構(ISO)の簡易承認プロセスによる第1回目の投票で、OOXMLは過半数の賛成票を得たものの、承認成立に必要な得票数を得ることはできず、標準化は見送られた(関連記事)。
投票されたすべての票には、OOXMLがISO標準として承認されるために必要な条件を求める「コメント」が付けられており、この条件がすべて満たされれば、承認される可能性は高い。しかし、各国の標準化団体がOOXMLに対して付けた総コメント数は3,522件にも上ったという。
これは、MicrosoftのOfficeプログラム・マネジャーであるブライアン・ジョーンズ(Brian Jones)氏が11月19日に自身のブログ上で明らかにしたもの。同時にJones氏はOOXMLのISO標準化に向けた取り組みも報告している。
スイスのジュネーブを拠点とする標準化団体ECMA(欧州電子計算機工業会)は、すでにOOXMLを国際標準として承認している。ECMAは先週末、OOXMLがISOの承認を獲得するのを支援するため、OOXML草案に対して寄せられたコメントに対する回答の提示を開始したという。
コメントに対する回答を作成しているのは、ハイテク企業の代表24名で構成されているECMAの第45技術委員会(TC45)だ。Jones氏もMicrosoft代表としてTC45のメンバーに名を連ねている。
ISOの規則により、OOXML草案に対するコメントやTC45が提示した回答を閲覧する権限が与えられているのは、国際標準化団体のメンバーに限定されている。
Jones氏のブログには「(OOXML草案に対するコメントと、その回答が一般に公開されないことが)承認プロセスを不透明にしている」との書き込みも寄せられた。これに対しJones氏は、「これらの情報は、個人的には一般公開すべきだと考えている。しかし情報の閲覧制限は、ISOの全プロセスに適用される共通の規則であり、ECMAもその規則を順守している」と説明している。
またJones氏は「類似するコメントを分類すると、コメント・リストはかなり短縮できる」とし、コメントの多くは主にOOXMLへの反対意見やECMAの標準化草案の修正を求めるもので、その内容は重複していると強調した。それでもコメントの数が“相当の量”であることは認めている。
今年初めに提出されたOOXML草案に対する反対意見として、MicrosoftのOfficeアプリケーションのファイル形式が、競合する「OpenDocument Format(ODF)」と十分な互換性を持たない点が挙げられていた。ほかにもOOXMLが特許を侵害しているとの指摘や、ECMAが提出した6,000ページを超える草案の内容を評価するのに十分な時間が与えられていないという声も上がっていた。
Microsoftは「Office 2007」から文書フォーマットにOOXMLを採用している。ODFの台頭を阻止し、これまでどおりデスクトップ・アプリケーション市場でOfficeの独占的地位を守るために、同社はOOXMLのISO標準化に躍起になっている。
一方、IBM、Sun MicrosystemsといったODFの支持ベンダーは、より多くのユーザーに「OpenOffice」「StarOffice」「Symphony」などのオフィス・アプリケーションへの乗り換えを促すため、OOXMLの標準化に反対している。
今後ECMAは、各標準化団体のコメントに対する回答/反論を、2008年1月14日までに提示しなければならない。その後、2月25日よりISOが投票結果会議(BRM)を開き、反対票を投じた各国標準化団体からのコメントが審議され、OOXML草案の修正が可能かどうかを検討する。会議終了後に行われる第2回目の投票は、OOXMLがISOに承認されるかどうかの最後のチャンスとなる。
Jones氏のブログによると、ECMAはすでに662件の回答を提出しており、今後も数週間ごとに回答を追加していく予定だという。同氏は「回答のほとんどは指摘された問題に対する解決案で、求められた条件をクリアできる」と説明している。
(Eric Lai/Computerworld オンライン米国版)
国際標準化機構(ISO)
http://www.iso.org/iso/home.htm
ECMA(欧州電子計算機工業会)
http://www.ecma-international.org/
米国Microsoft
http://www.microsoft.com/
提供:Computerworld.jp