Sun、仮想化製品市場に本格参入へ――Xenベースの仮想化ソフトウェアを無料提供
xVMは、ゲストOSとしてLinux、Solaris、Windowsをサポートするハイパーバイザ型の仮想化サーバ「xVM Server」と、管理コンソール「xVM Ops Center」の2つのコンポーネントで構成される。xVM Ops Centerは、オープンソース・ライセンスのGPLv3に基づいてリリースされる予定であり、すでにSunはコミュニティ・サイトを開設している。
コンファレンスのステージに上がった同社CEOのジョナサン・シュワルツ氏は、「われわれは、このコミュニティとのかかわりをきわめて重視している。同コミュニティはあらゆる意味で当社の存立基盤だと言える」と語った。
数日前には、Oracleも仮想化製品「Oracle VM」を発表している。Oracle VMは、xVM Serverに似た製品で、オープンソースのXenをベースにしている。今後SunとOracleは、VMwareが支配する仮想化製品市場で多くのライバルたちとしのぎを削ることになりそうだ。
Sunは、xVMに20億ドルを投入する意向を示しており、来月出荷される予定のxVM Ops Centerは、すでに1,000種類のシステム構成で稼働することが確認されているという。
今回の発表では、Sunのソフトウェア担当エグゼクティブ・バイスプレジデント、リッチ・グリーン氏もステージに登場し、xVMの機能を詳しく説明した。同氏は、業界全体がデータセンターの仮想化に取り組んでいる中で新たな課題も生まれていると指摘し、「これらの統合化されたシステムは、ゆとりがきわめて少ない。これも、サーバ統合の副産物と言えるだろう」と語った。
また、仮想化環境を本格的に導入している企業は、「サーバ・スプロール」の問題にも直面しているという。グリーン氏は、「仮想化には、スプロール化という問題が付きまとっており、以前よりも管理が難しくなっている」と指摘する。
同氏は、xVM Ops Centerについて、「どのような技量レベルのユーザーでも容易に使いこなせるインタフェースを搭載した、データセンター自動化のための完全なスイート」と説明している。xVM Ops Centerのデモンストレーションを行ったSunのスティーブ・ウィルソン氏も、「全員が筋金入りのUNIX管理者である必要はない」と語っている。
xVM Serverは、Windows、Solaris、Linuxという3種類のメジャーなOSのホスティングが可能であり、ファイルシステムの「ZFS」や自己修復機能「Predictive Self-Healing」などにもアクセスできる。同サーバは2008年春にリリースされる予定となっている。
ほかの製品と同様、xVM Serverも無料で提供される予定であり、Sunはサポートサービスを提供することで収入を得ることになる。「サポートなしでデータセンターを仮想化しようという人はあまりいない」（グリーン氏）
Forrester Researchの主任アナリスト、ジェームズ・スターテン氏は、今回のSunの発表について、Xenプロジェクトをベースにして仮想化製品を構築するという大きな流れを反映したものと指摘する。同氏は、「Xenをベースにした製品に関しては、まだリーダー的な存在が現れていない」としたうえで、Citrixを有力視する声もあるが、市場にはシェア拡大の余地が十分あるとの見方を示している。
またスターテン氏は、Sunの製品について、「Solarisとの結合という点に特徴がある」と語る。Sunのプラットフォームは、超並列システムで多用されており、マルチコア・ハードウェア導入の動きが広がる中、この点は「大きな強み」になるというのが同氏の分析だ。
Sunによると、すでにAMDやIntel、MySQL、Symantec、Quest Software、Red Hatなど多くの企業がxVMを支持しているという。
14日の発表では、DellのCEOであるマイケル・デル氏もステージに上がり、同社の「PowerEdge」サーバにSunのSolaris 10を搭載して販売することに合意したと発表した。シュワルツ氏は、「Dellに対するSolarisインストール・ベースの反応もこれまでとは大きく違ってくるはずだ」と語った。
(クリス・カナラカス／IDG News Service ボストン支局)
米国Sun Microsystems
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提供：Computerworld.jp
