Sun、仮想化製品ライン「xVM」の第1弾となる管理ソフトを来年1月にリリース――ハイパーバイザ「xVM Server」の投入は来年第2四半期を予定

 米国Sun Microsystemsは12月4日、仮想サーバ管理コンソール「xVM Ops Center」を来年1月にリリースすることを明らかにした。同ソフトは11月の「Oracle OpenWorld 2007」で発表された「Sun xVM」に属する仮想化製品で、オープンソース・ライセンス「GPLv3」に基づいて提供される( 関連記事 )。

 xVM Ops Centerは、x86とSPARCの両プラットフォームをサポートし、Solaris、Red Hat Linux、SUSE Linuxの各OSに対応する。一方、Windowsについては未対応となっているが、SunのxVM担当マーケティング・ディレクター、Oren Teich(オレン・タイヒ)氏は、「Windowsを管理する機能は当社にとって優先課題であり、リリースのロードマップについてMicrosoftと調整中だ」と語った。

 来年1月8日にリリース予定のxVM Ops Center初版には、同社のSun ConnectionツールとN1 Systems Managerプロビジョニング・ツールを通して使うパッチ管理機能が用意される。Sunによると、同管理コンソールは最大5,000のサーバ・ノードをサポートできるという。

 Sunとしては、xVM製品ポートフォリオを急ピッチで拡充したい考えだ。xVM Ops Center以外の製品としては、市場で最もシェアの高いVMwareの「ESX Server」と機能的に近い仮想化ハイパーバイザ「Sun xVM Server」があり、そのリリースは来年第2四半期とされている。

 xVM Ops Centerは、Sunが開設した OpenxVM.orgサイト を通じて無料でダウンロードできるが、技術サポートが付いた商用版(有料版)も提供される予定だ。商用版のメリットは、技術サポートに加えて、パッチとシステム管理に関する情報を提供するサブスクリプション・ベースの「ナレッジ・ストリーム」(Knowledge Stream)を利用できることだ。

 技術サポートとリモート・カスタマー・サービスが付くxVM Ops Centerの年間サブスクリプション料は、管理サーバ1台当たり100~350ドルの予定。なお、ソフトウェアと基本サポートに加え、オンサイトのインストレーションとトレーニングも付く「Satellite Server」というサブスクリプション・プランもあり、こちらは1万ドルとなる。

 現在の仮想化市場は、VMwareを筆頭に、Xenベースのハイパーバイザを発表したOracleや、Windows Server 2008とペアになるハイパーバイザ「Viridian」(開発コード名)を開発中のMicrosoftなど、多くのソフトウェア・ベンダーがひしめき合っている。

 米国Forrester Researchのアナリスト、ジェームズ・スタテン(James Staten)氏は、IDG News Serviceの電子メール取材に対し、「Solarisシステムの管理者にとってxVM Ops Centerの最大の魅力は、面倒なパッチ作業を簡単にするパッチ・マネージャだと思う」と回答した。

 ただしStaten氏は、xVM Ops Centerはユーザー・インタフェース(UI)の点で優れているとしながらも、その魅力は限られていると指摘する。「Solaris管理ツールとしては秀逸だが、市場全体から見るとそれほどでもない。Sunのユーザー・ベースで見ても、Solarisのシステム管理者はほとんどがコマンドライン派なので、UIを使わないのではないか」(同氏)

 結局、Sunの仮想化製品を最も歓迎するのは、従来からのSolarisユーザーということになりそうだ。「Sunの幹部は、SolarisベースのハイパーバイザならLinuxベースのそれよりも堅牢でセキュア、信頼性が高いだろうと考え、Solarisの顧客から支持を得られると踏んでいるようだ」と、Staten氏はSunの思惑を推測する。

 SunはSolaris 10の一部機能をxVM技術と統合する可能性も示唆している。そうすることで、同社はSolaris中心、あるいはSolaris専用環境におけるxVMの魅力を高めようとしていると、Staten氏はみている。

(Patrick Thibodeau/Computerworld オンライン米国版)

米国Sun Microsystems
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提供:Computerworld.jp