Microsoft、GoogleのDoubleClick買収反対キャンペーンを開始
icompのWebサイトには、「icomp設立の目的は、オンライン・サービスの著作権、プライバシー、自由競争について、業界全体で議論をすること」とある。
しかしほんとうの目的は、GoogleのDoubleClick買収が独占禁止法に抵触していないかを精査し、買収を阻止するよう、IT業界に働きかけていくというものだ。
バーソン・マーステラによると、同社はMicrosoftの意向を受け、“自由なオンライン・サービス市場の創造”に興味を持つ100以上の企業/消費者団体などに、GoogleのDoubleClick買収案をたたき台に、「オンライン・サービス市場の原則を守る嘆願書」に署名するよう、働きかけているという。
現時点でicompに賛同しているのは、Microsoftとバーソン・マーステラだけだ。しかし、英国バーソン・マーステラで社長を務めるギャビン・グラント氏は、そのほかにも賛同者がいるとし、近日中にicompに賛同した企業/団体名を公表することを明らかにした。
グラント氏は、電子メールを送信した企業/団体のリストを公開していない。もちろん、そのリストの中にGoogleがあるのかどうかも明らかにしていない。なお、IDG News ServiceはGoogleに対し、icompについてコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
グラント氏はicomp設立の目的が、GoogleのDoubleClick買収阻止だとは明言していない。あくまでも「GoogleのDoubleClick買収に懸念を抱いている企業や消費者団体とともに、オンライン・サービス市場が競争原理を維持できるよう、議論していく場だ」としている。
しかしicompの嘆願書が、GoogleのDoubleClick買収に反対するものであることは明らかだ。反対派は、同買収が成立した場合、Googleがインターネット上の広告の80%を支配し、独占禁止法に抵触すると主張している。
GoogleのDoubleClick買収に懸念を表明しているのは、Microsoftだけではない。今年4月20日には米国の3つの市民団体が、インターネット・ユーザーのプライバシー保護の保証を両社から得られない場合は買収を差し止めるよう、米国連邦取引委員会(FTC)に申立書を提出している。
こうした主張に対し、Googleは自社のブログで、「Microsoftや米国Yahoo!なども、オンライン広告と消費者マーケティング戦略を強化するため、企業買収を行っている」とし、DoubleClick買収の正当性を主張している。「DoubleClick買収は、他社の競争を阻害していない」というのがGoogleの言い分だ。
もちろん、Microsoftはそうした意見に真っ向から反論している。Microsoftで広報を担当するジャック・エヴァンス氏は9月24日、GoogleのDoubleClick買収計画がなければ、icompは設立しなかったと認めている。
「GoogleによるDoubleClick買収は、オンライン・サービス市場の競争、消費者のプライバシー、著作権保護に、深刻な疑問を投げかけるものだ」(エヴァンス氏)
一方こうしたMicrosoftの動きを、単なる負け惜しみだと見る向きもあるようだ。MicrosoftもDoubleClickの買収を試み、Googleと競い合っていたといううわさは、IT業界で広く知られている。
ちなみにMicrosoftは今年5月、オンライン広告/マーケティング・サービス企業の米国アクアンティブを60億ドルで買収し、インターネット広告ビジネスの拡充を図る方針を明らかにしている。
(エリザベス・モンタルバノ/IDG News Serviceニューヨーク支局)
米国Microsoft
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提供:Computerworld.jp