SugarCRM、オープンソースCRM新版「Sugar 5.0」を9月末にリリース――開発者向けエディションの計画も明らかに

 米国SugarCRMは8月27日、オープンソースのCRM(顧客関係管理)ソフトウェア新版「Sugar 5.0」を9月末にリリースすると発表した。当面は3種類のユーザー企業向けエディションが用意されるが、後に開発者向けエディションも追加される見込みだ。

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「Sugar 5.0」

 SugarCRMでCEOを務めるジョン・ロバーツ氏によると、 Sugar 5.0は同社が設立された2004年以来、最も重要な製品で、その開発には40名のエンジニアと18カ月もの期間が費やされたという。9月末の正式版リリースに先立ち、今週末にはSugar 5.0のベータ版がリリースされる予定だ。

 Sugar 5.0には、他のSugar製品と同様、3種類のエディションがある。無料のオープンソース版が1つと、機能追加や技術サポートが受けられる有料のオープンソース版(同社では「コマーシャル・オープンソース」と呼んでいる)が2つの合計3種だ。

 Sugarの開発者向けエディションについては、「Sugar Developer」という名称で提供され、開発プラットフォームとしてパッケージングされるという。「Sugarは常にプラットフォームとして利用されてきた」とロバーツ氏が語るとおり、サードパーティの開発者は実際、一般的なCRM機能に加え、財務および人事管理モジュールといった多様な機能を Sugarに基づいて開発している。

 以前は「Sugar Open Source」と呼ばれていた同CRMソフトの無料オープンソース版は、バージョン5.0のリリースと同時に「Sugar Community Edition(SCE)」と名を変える。従来はMozilla Public Licenseから派生した同社独自のオープンソース・ライセンス(SPL:Sugar Public License)が採用されていたが、SCE 5.0はGPLv3(General Public License Version 3)の下で提供されることになる。

 一方、「Professional」と「Enterprise」の2つの有料版は、これまでと同様、アプライアンスとともにオンサイト/オンデマンドで利用したり、ソフトウェア・スタックとして実装したりと、さまざまな形態で導入することができる。

 SugarCRMは、こうしたSugar 5.0のホスティング用途向けに、新たなオンデマンド・アーキテクチャを開発した。同アーキテクチャをマルチインスタンス式にしたことで、全ユーザーがSugarの1つのインスタンスを共有する(マルチテナンシー式と呼ばれる)代わりに、各自が独立したインスタンスを実行できるようになった。また、作成したカスタム・モジュールを、それぞれのSugarシステムを介して共有することも可能だ。

 この新しいオンデマンド・アーキテクチャは、ホステッドCRM市場のライバルたちと競い合っていくうえで大いに役立つと、SugarCRMでは期待している。同社は2年前からオンデマンド・サービスを提供しており、今では2,000社に達する同社の有料顧客の40%がオンデマンド形式を選択していると、ロバーツ氏は説明した。

 同市場でSugarCRMのライバルとなるのは、Salesforce.comだけではない。Oracleは自社CRMソフトのホステッド版をすでに提供しているし、Microsoftも「Dynamics Live CRM」サービスを展開する準備を進めている。さらにSAPは、CRM機能を搭載したオンデマンド・アプリケーション・スイート(開発コード名:A1S)を来年初頭にもリリースする方針だ。

 多くのオープンソース新興企業がそうであるように、SugarCRMにとっても、年商10億ドル規模の企業にのし上がることが1つの目標となっている。「SugarCRMには大規模な株式会社へ成長する可能性があると、われわれはいつも信じてきた」とロバーツ氏。オンデマンドCRMソフトに投資する企業がさほど多くないことから、同市場には開拓の余地が十分に残されているとロバーツ氏は考えている。

 次のバージョンとなるSugar 5.1のリリースは今年12月の予定だ。さらに、2008年半ばにはバージョン5.5も控えている。ロバーツ氏によると、リアルタイム・チャットやWikiなどのWeb 2.0コラボレーション機能を搭載するよう準備を進めているという。

(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)

米国SugarCRM
http://www.sugarcrm.com/

提供:Computerworld.jp