Sun、データセンターの刷新でCO2排出量を年間4,000トン削減へ――米国・英国・インドの3拠点に集約し、施設面積を半分以下に縮小

 米国Sun Microsystemsは、消費電力の低減、炭酸ガス排出量の削減に向けた取り組みの一環として、データセンターを刷新し、米国、英国、インドの各拠点の施設に集約したことを明らかにした。これは、データセンターの環境対策を自ら実践し、顧客にその実例を示すという方針に沿ったもの、IBMやHPも同様の取り組みを進めている。

 Sunは、カリフォルニア州サンタクララ、英国のサリー州、インドのバンガロールにデータセンター施設を集約した。新しいデータセンターの総面積は、13万3,000平方フィートで、従来のデータセンター(26万7,000平方フィート)の半分以下に縮小した。

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Sunのグリーン・データセンターの取り組みを紹介するWebベージ
 データセンターの刷新には、サーバ統合と冷却効率の向上という2つの重要な側面がある。サンタクララのデータセンターでは、2,177台のサーバが1,240台のマルチコア・サーバ(SunFire T1000/T2000およびx64サーバ)に置き換えられた(すべてのマシンでSolarisが稼働)。いずれのマシンも、必要な電力を80%近く抑え、コンピューティング・パワーを456%向上したという。

 また、SunはSolarisの仮想化機能を使って物理サーバを全面的に仮想サーバに置き換えたとしている。

 冷却システムには、ホットアイル/コールドアイル設計の改良版が採用されている。これは、ラックに設置したコンピューティング機器を密閉ポッドに収容するというもので、標準的な空調設備を使ってデータセンター全体の温度を一定に保とうとする従来の設計に比べ、冷却に必要な電力を減らすことができる。

 新冷却システムは、熱を帯びるポッドの一部だけを熱交換機で冷却し、データセンターの外に熱を排出する。ポッド内の各サーバには、温度センサが付いており、制御システムは、熱くなった場所だけを機動的に冷却するようになっている。

 ストレージ統合に関しても、一部で同様の対策が行われている。従来のディスクアレイ・システムを、144GBのファイバ・チャネル・ドライブを使った StorageTek 3000と同6000に置き換えた。これらのディスクアレイ・システムの導入により、容量を244%増やす一方で、使用されるアレイを70%減少することに成功したという。

 Sunは、サーバ、ストレージ、冷却設備にかかわるこれらの構想を実現することで、炭酸ガスの排出量を年間およそ4,000トン削減し、同社全体の年間炭酸ガス排出量を1%減らすことができると見積もっている。またサンタクララのデータセンターは、3年間でアップグレード費用を回収できる見通しだ。

 なお、サンタクララのプロジェクトでは、地元の電力会社から100万ドル近い還付金が支払われることになっている。

 一方、英国では、欧州にある複数のデータセンターがブラックウォーターの施設に集約された。ここでは、これまで使われていた100台のサーバが、StorageTek 9985のSANアレイを接続した80台の新型サーバに置き換えられた。

 Sunは、環境対応データ・プロジェクトに関する情報をマイクロサイト上で提供しており、顧客にも同様の環境対策に取り組むよう呼びかける「Eco Ready」サービスを発表する予定だ。また同社は、富士通がカリフォルニア州サニーベールのオフィスで使っているような燃料電池技術の導入も検討しているとしている。

 Sunによると、新しいデータセンターでは、作業負荷の増大に対処できるよう、拡張可能なスペースも確保しているという。

(クリス・メラー/Techworld オンライン英国版)

米国Sun Microsystems
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提供:Computerworld.jp