IBM、データセンター自律化のための新機能群を発表――「データセンター運用コストの削減に大きく寄与する」と同社幹部

 米国IBMは11月8日、同社が取り組むオートノミック・コンピューティングを適用したデータセンター自己管理のための機能群を発表した。

 オートノミック・コンピューティングは、システムが自律的に監視・管理して人手による作業の介在を削減しようとする考え方で、IBMが2001年より提唱している。同社のハードウェアおよびソフトウェア製品の一部に、この考え方を取り入れた機能が実装されている。

 IBMでオートノミック・コンピューティング担当のバイスプレジデントを務めるリック・テルフォード氏によれば、今回の新機能が適用される製品の1つは、電力管理ソフトウェア「IBM Systems Director Active Energy Manager」であるという。これは、電力消費を監視し、エネルギー効率の向上と電力コストの削減のために適切な調整を行うというものだ。

 同製品により、電力の使用量を制限して電力コストの超過を防ぐことができる。加えて、ワークロードの傾向を監視して、複数のプラットフォームをまたいだ処理を効率化できるようになる。「ユーザーが重要なワークロードに任意の電力を配分することが可能になる」とテルフォード氏。

 また、「IBM Tivoli Change and Configuration Management Database」では、システム管理者がIT環境の特徴を把握するための統合的な拠点を提供するという。サーバ、ストレージ、ネットワーク、アプリケーションといったコンポーネントから自動的に情報を収集することで、コンポーネント間の関係性や依存性を的確に把握できるようになる。これは、将来的にIBMのほかのサービス管理製品にも対応する予定だ。

 このほかにも、「IBM Tivoli Usage and Accounting Manager」、「Tivoli Security Operations Manager」など、いくつかの製品でアップデートが行われた。

 IBM Tivoli Usage and Accounting Managerは、コンピューティング・リソースの使用状況に関する情報を収集するソフトウェア。今回のアップデートによって、IBMのサーバ製品「System p」および「System x」で稼働する仮想マシンのリソース使用効率を、さらに向上できるようになったという。

 同製品についてテルフォード氏は、ユーザーの行動やデータを参考にしてリソースの配分を決定するのに役立つと話している。「この製品が収集する情報を活用すれば、今後必要になるものを前もって準備しておけるようになる」(同氏)

 Tivoli Security Operations Managerは、データセンター全体に渡って自律的にデータを分析することで、セキュリティ脅威を洗い出すソフトウェア。インシデントが発生したときに、それを認識し、その原因を調査して報告するというプロセスを自動的に実行する。

 テルフォード氏は、データセンター運営にかかわるコストは、かつては大部分がハードウェアおよびソフトウェアの購入費だったが、現在は人件費のほうが大きくなってきているとし、オートノミック・コンピューティングが、この人件費の拡大という問題を解決できると主張している。

(アガム・シャー/IDG News Service サンフランシスコ支局)

米国IBM
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提供:Computerworld.jp