IBMとNovellが提携を拡大、オープンソースのサーバ/デスクトップ製品を共同提供――SUSE Linux対応ソフトの強化でMicrosoftやJBossに対抗
この提携拡大は、MicrosoftやJBoss(Red Hatの事業部門)への対抗が背景にある。具体的には、「Microsoft Exchange」や「JBoss Application Server(JBoss AS)」に対する競争力を高めるため、IBMとNovellはLinux対応のグループウェアおよびアプリケーション・サーバの強化を図る。
Novellは、サーバ向けLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server」に、IBMのオープンソース版アプリケーション・サーバ「WebSphere Application Server Community Edition(WAS CE)」をバンドルする予定だ。これにより、JBoss ASの提供元であるJBossとの競争で優位に立てると見ている。
またIBMとNovellは、JBoss ASユーザーのWAS CEへの移行を支援するためのサポートと移行ツールを提供する計画。さらに、SUSE LinuxとWAS CEのサブスクリプション販売とマーケティングを共同で行うとしている。
WAS CEは、IBMが2005年5月に買収した米国グルーコード・ソフトウェアの「Gluecode JOE」の後継に当たるもので、非営利団体Apache Software Foundationのアプリケーション・サーバ「Geronimo」をベースとしている。
IBMのWebSphereサーバ開発担当バイスプレジデント、パティ・デュデック氏によると、WAS CEはユーザーの間で高い人気を博しており、同社が2005年11月にWAS CE 1.0の提供を開始して以来、ダウンロード件数は100万件を超えているという。WAS CEの新版となるバージョン2.0も年内に出荷される予定だ。
一方、デスクトップに関してIBMとNovellは、「SUSE Linux Enterprise Desktop(SLED)」に対応するオープンソースのコラボレーション・クライアントを提供する。同クライアントには、IBMのグループウェア「Lotus Notes」とインスタント・メッセージング(IM)ソフトウェア「Lotus Sametime」のほか、いくつかのプロダクティビティ・ツールが含まれている。
IBMのLotusソフトウェア担当マーケティング責任者、アントニー・サティアダス氏は、同クライアントとSLEDとの組み合わせがコスト・メリットに優れていることを強調。Microsoftの「Office 2007」と「Windows Vista Business」の組み合わせよりも、1ユーザー当たり300~500ドル安く済むだろうと語っている。
なお同氏は、Red Hatとの間でも同様の提携を結ぶ可能性を示唆した。
Novellもグループウェアとして「GroupWise」を提供しているが、市場リーダーのNotesとExchangeに大きく後れを取っているというのが実情だ。
IBMは昨年半ば、NotesとSametimeのLinuxネイティブ対応をようやく果たした。今年2月には、WindowsとLinuxの混在環境で Notesを容易に実行できるようにするサービス「Open Client」も発表している。また、NotesとSametimeの新版は、Eclipse Foundationが開発したミドルウェア・レイヤ上で動作するため、Linuxのサポートが容易になっている。
IBMのデュデック氏によると、同社がNovellとの提携を拡大するねらいは、SMB(中小規模企業)市場におけるNovellの強みを生かして、そうした顧客にWAS CEを訴求することにあるという。
(チャイナ・マーテンス/IDG News Service ボストン支局)
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提供:Computerworld.jp